『100日の郎君様』に主演したド・ギョンスは、EXOのD.O.(ディオ)としてよく知られているが、俳優としても本当に多彩な才能をもっている。
その彼が『100日の郎君様』の序盤で扮していたのは、世子(セジャ)のイ・ユルだ。幼い時に結婚の約束をした初恋の人を失い、大人になって世子だったのに暗殺されそうになって九死に一生を得る。すべての元凶は悪徳高官だった。
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権力の亡者となった極ワルの男によって、イ・ユルの人生はメチャクチャにされる……と思いきや、ドラマ的に言うと、イ・ユルはまったく別の人生を歩むことになる。つまり、大ピンチから村人に助けられた彼は一転して田舎の青年ウォンドゥクに生まれ変わるのだ。
とはいえ、王子が農民になるのだから、まともに生活できるわけがない。
ワケあってホンシム(ナム・ジヒョンが演じている)という娘と結婚したが、農家の仕事がまったくできないばかりか、狡猾な商人に騙されて金もないのに高価なものを買わされてしまう。残ったのは借金の山だ。そんな生活を強いられたウォンドゥクは、どうやって窮地を脱していくのか。
こういうシチュエーションが前半の見どころになっているが、農民に扮したド・ギョンスの演技が秀逸だ。とにかく、味がある「とぼけっぷり」を存分に発揮している。
ドラマの序盤では世子として王宮の中でバリバリに有能な政治家を演じていたのに、今度は、田舎で食事をしても金を払わないで女主人に罵倒されるほど落ちぶれてしまう。そのギャップのおかしさをド・ギョンスが実に愉快に演じ分けている。
見ていて、本当にニヤニヤしてしまった。いい意味で、視聴者を明るく「ニヤニヤ」させてくれるド・ギョンスの演技に喝采を送りたくなる。そこが、『100日の郎君様』の凄いところだと感心してしまう。
さらに、ホンシムとのラブロマンスも抒情的でとてもいい。そのホンシムとの過去のいきさつは、ドラマを見ていれば徐々にわかってくるが、2人の生活はホノボノしていて、その麗しき夫婦愛を心から応援したくなる。
ドラマも後半になると、再び王宮の陰謀が激しくなっていくのだが、前半のウォンドゥクとホンシムの生活ぶりは、思い出す度に笑顔が甦ってくる。
ド・ギョンスが演じた二つのキャラクター……イ・ユルとウォンドゥクの好対照な生き方を見ていると、むしろウォンドゥクの生活ぶりにたまらないノスタルジーを感じてしまう。
そんな『100日の郎君様』は、9月29日からテレビ東京系で放送される。本当に楽しみだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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