『ヴィンチェンツォ』は、イタリアン・マフィアの顧問弁護士が韓国に戻って地下の金塊を狙うというドラマだった。法で裁くことができない巨悪に対して「悪と知恵」で立ち向かっていくストーリーが喝采を浴び、主役のダーティーヒーローを演じたソン・ジュンギは、社会現象を起こすほどの注目を集めた。
まさに、2021年の韓国ドラマ界で正真正銘のヒーローとなった。
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とはいえ、すでにソン・ジュンギは『ヴィンチェンツォ』の前から韓国のトップ俳優だ。
そんな彼が、本当の意味で大ブレークしたドラマといえば、それはもう『太陽の末裔』をおいて他にない。
この『太陽の末裔』は、韓国で2016年の春に大ヒットしたドラマだ。
ソン・ジュンギが扮するのは、エリード軍人のユ・シジン。
物語は、政情不安定な外国で韓国の軍人と医師団が奉仕活動に従事するという設定だった。そして、ソン・ヘギョが演じたヒロインのモヨンは命の危険にたびたび遭遇するのだが、そのたびにシジンが助けてくれた。まさに、彼はモヨンにとっての救世主だった。
それにしても、シジンとモヨンが異国で大ピンチに陥るシーンがあまりに多くて、ドラマの中のハラハラ感がハンパなかった。
しかも、シジンの起死回生の活躍ぶりは、見ていて何度も喝采を送りたくなった。勝気なエリート女性ながら情が濃かったモヨンがシジンに惹かれるのも当然だった。結局、2人は私生活で結婚した。その先はドラマのようにいかなかったが……。
結局、『太陽の末裔』は韓国で驚異的な視聴率をあげるほど大人気となり、ソン・ジュンギの名声も一気に高まった。
それまでの彼は、柔軟性がある雰囲気を漂わせていたが、シジンを演じてソン・ジュンギは力強いイメージをプラスすることに成功した。
そういう意味では、『太陽の末裔』はソン・ジュンギにとって俳優として転換点になったドラマだった。その勢いが今回の『ヴィンチェンツォ』に大いにつながっていると言える。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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