女優のハン・ジミンは、『イ・サン』で人気を不動にした。彼女が演じたソンヨンは非常に清楚で誠実な役柄であり、そのキャラクターをハン・ジミンはハツラツと演じて、一気に注目度抜群の女優となった。
それだけに、ハン・ジミンというと日本でも清潔感がある女優としてよく知られ、日本でファンミーティングを開いたときも多くのファンが殺到していた。特に男性がたくさん集まったということもとても印象深い光景だった。
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このように、美しいイメージでファンを獲得していたハン・ジミンが悪役を演じたのが、ヒョンビン主演の『王の涙-イ・サンの決断-』であった。
この映画でヒョンビンが演じたのは、名君として有名な22代王の正祖(チョンジョ)だった。彼が兵役を終えて復帰してからの第1作であり、国王に扮したヒョンビンの派手なアクションシーンも大いに話題となった。
そして、ハン・ジミンが演じたのは貞純(チョンスン)王后であった。
歴史的に貞純王后は、英祖(ヨンジョ)の二番目の王妃であり、正祖の敵役として有名な女性だ。映画でもハン・ジミンが演じた貞純王后が正祖の命を狙うという設定になっていた。
とにかく映画に登場する貞純王后は性格が悪く、いかにも陰謀を働くような女性として描かれていた。
それだけに、貞純王后を演じるハン・ジミンもいつものように爽やかなイメージというわけにはいかない。むしろ逆である。どこまでも陰湿に演じなければならなかった。今までのギャップとあまりに大きかったので、見る人はハン・ジミンの演技を恐ろしいと感じたはずだ。
こうした悪役をハン・ジミンは大いに納得して演じきっていた。幅広い役を演じて多様に表現するのが韓国の俳優たちの願いであり、悪役はかえってやりがいを感じる人も多い。
ハン・ジミンも爽やかな役柄だけでは多様性を発揮できない。そういう意味でも『王の涙-イ・サンの決断-』で悪役を演じたハン・ジミンは、自分のキャリアにとっては非常に有意義だった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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