韓国時代劇で英祖(ヨンジョ)はとてもよく出てくる国王だ。実際はどんな人物だったのだろうか。
30歳で即位した英祖は、当時激しかった派閥闘争の弊害を知り抜いていた。その観点から英祖が採用した人事政策が蕩平策(タンピョンチェク)だった。
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これは、各派閥から公平に人材を採用する政策だ。能力主義を貫き、決して意図的な人事をしなかった。確かに、当時の朝鮮王朝で採用できなかった政策だが、英祖は果敢に取り組んだのだ。
その甲斐があって、あれほど激しかった「党争」も一時は沈静化した。これによって、英祖の王権も安定し、彼は国防の強化、過酷な刑罰の禁止、減税、庶子の官吏登用などで政治的な成果をあげた。
それほどの人物でも、治世が長くなりすぎると変節を遂げてしまうものだ。たとえば、1762年に起こった世子餓死事件が象徴的だ。英祖は息子である思悼世子(サドセジャ)の素行を問題視して、彼を米びつに閉じ込めたまま餓死させてしまった。この大事件は時代劇でもよく取り上げられる。そんな時代劇というと、『イ・サン』があまりに有名だ。
このドラマで英祖を演じたのは、韓国芸能界の重鎮であったイ・スンジェだ。この『イ・サン』が韓国で放送されたときにイ・スンジェは72歳だった。在位52年という歴代最長の長寿だった英祖にふさわしく、イ・スンジェも相応の年齢だったのだ。
他にも、韓国で名優と称賛されるハン・ソッキュも『秘密の扉』で英祖を演じている。このときのハン・ソッキュは50歳だった。
このように、英祖というのは年配の俳優が演じるというイメージが強い。それなのに、ヨ・ジングが2016年に『テバク~運命の瞬間~』で英祖を演じたときは18歳だった。あまりに若々しかった。それでも、ヨ・ジングは年配の名優たちに負けることなく立派に英祖の役を演じきっている。
やはり彼は天才的な俳優だ。『王になった男』で名演技を披露できたのも、役者になるために生まれてきたようなセンスを持っていたからだ。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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