テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『王になった男』。最大の見どころは、道化師が国王になってしまうという意外性だ。
主役のヨ・ジングは、国王のイ・ホンと道化師のハソンを演じることになった。
この『王になった男』といえば、先に制作された映画版ではイ・ビョンホンが1人2役を演じた。彼は、韓国の俳優の中ではトップクラスの実力を持っている。それだけに、国王と道化師の2役を本当に巧みに演じ分けていた。
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この映画が、観客1000万人を突破するほどメガヒットを記録したのも、イ・ビョンホンの演技力があったからこそだった。
一方のヨ・ジングはどうだっただろうか。彼も若手とはいえ、子役時代から演技力に定評があった。特に『太陽を抱く月』で、主役のキム・スヒョンの少年時代を演じたときは天才子役と称賛された。
なにしろ、ヨ・ジングの評判があまりにも良すぎて、キム・スヒョンが大きなプレッシャーを感じるほどだったという。ヨ・ジングはそれほど子供のころから演技力を磨いてきて、大人の俳優として成長してきたのだ。
チャン・グンソクが主人公を演じた『テバク~運命の瞬間(とき)~』でヨ・ジングは、国王の英祖(ヨンジョ)の若いときを演じていて、彼は国王に扮した経験もあった。そして、今回は堂々たる主役として『王になった男』を1人2役で演じたわけだ。
結論から言えば、韓国でヨ・ジングの演技はとても評判が良かった。同じ顔をしているとはいえ、国王のイ・ホンと道化師のハソンでは性格がまったく違う。天と地ほど性格が別人だと言ってもいい。
ヨ・ジングも大いに悩みながら演じたはずだが、まるで1人の俳優が演じているとは思えないほど、国王と道化師の性格や表情の違いを的確に表現していた。
しかも、国王イ・ホンは精神を病んでいた部分も多く、ヨ・ジングは繊細かつ過敏な表情を求められたが、彼は天性の勘の良さを発揮してイ・ホンの心の変化を巧みに演じていた。
一方の道化師のハソンのときは、庶民的な屈託のなさや急に国王にされて戸惑う様子などを自然な変化で表していた。
1人2役というのは、その2役が違えば違うほど難しい演技になるが、ヨ・ジングは見事なくらいまるで違う2人を演じ分けていた。やはり、彼は天才子役から大いに成長してきた俳優であった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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