テレビ東京で放送されている『王になった男』を見ていると、朝鮮王朝の政治を仕切る高官たちの職制がよく出てくる。特に、登場人物の中では「都承旨(トスンジ)」や「左議政(チャウィジョン)」が重要だ。
その説明の際にとても大事なことなので、最初に朝鮮王朝の各中央官庁の役職を見てみよう。
〔朝鮮王朝の中央官庁〕
【関連】地上波初放送される『王になった男』はどんなドラマなのか
◆宗親府(チョンチンブ)……王族の生活全般を管理し、王室行事や祭礼も主催する。
◆議政府(ウィジョンブ)……行政府の最高機関である。次の6つに分かれている。
1.吏曹(イジョ)……文官の人事などを担当する
2.戸曹(ホジョ)……徴税と財政などを担当する
3.礼曹(イェジョ)……儀礼・外交・科挙などを担当する
4.兵曹(ピョンジョ)……軍務と武官人事などを担当する
5.刑曹(ヒョンジョ)……法務・刑罰・奴婢管理を担当する
6.工曹(コンジョ)……建設土木・営繕などを担当する
◆承政院(スンジョンウォン)…王の秘書役で特に王命の出納事務を担当する
◆義禁府(ウィグムブ)……王命に従って罪人を取り調べる
◆弘文館(ホンムングァン)……宮中の経籍を管理して王の諮問に備える
◆司憲府(サホンブ)……官僚の不正を糾弾して風紀を守る
◆司諫院(サガヌォン)……王に諫言して政治の非を指摘する
◆漢城府(ハンソンブ)……首都の司法・行政・治安などを担当する
◆芸文館(イェムングァン)……王命を記した文書を記録・管理する
◆春秋館(チュンチュグァン)……朝鮮王朝の歴史を記録して整理を担当する
◆成均館(ソンギュングァン)……朝鮮王朝の最高学府で儒学の振興を担った
以上の中で、キム・サンギョンが演じている都承旨というのは、承政院の長官のことだ。いわば秘書室長である。
また、クォン・ヘヒョが扮している悪徳高官の左議政というのは、政府の副総理のことだ。総理大臣は領議政(ヨンイジョン)であり、副総理は左議政と右議政(ウイジョン)の2人がいる。つまり、行政のトップ3人は領議政と左議政と右議政なのである。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
【関連】王らの側近として支えた内官(ネグァン)とはどんな人たちなのか
前へ
次へ