韓国でドラマ『大王世宗』が韓国で初放映される前、一抹の不安が囁かれていた。
というのも、当時の韓国では『大祚栄(テジョヨン)』(KBS)をはじめ、『太王四神記』(MBC)や『朱蒙(チュモン)』(MBC)など、人気を博していた時代劇のほとんどが、スケールが大きく派手で迫力のあるアクションや戦闘シーンを売り物にしていたのだ。
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しかし、『大王世宗』には戦闘シーンがまったく出てこない。派手なアクションもない。そのため、視聴者たちの興味や支持を集められるか心配されたのだ。
ただ、その代わりに『大王世宗』は外交的摩擦や王位が入れ替わる時期のさまざまな混乱などを描き、毎回、張りつめた緊張感が漂っていて、それが売りになった。つまり、アクションや派手な戦闘シーンがなくても楽しめる政治ドラマとして支持を集めたのだ。
「本来、時代劇は現在の政治と比較して見ることに面白みがある。世宗が混乱した政局を、どのように立て直すのかにスポットを当てたかった」とは、制作関係者の言葉。この言葉からも、戦闘シーンを描かなくても十分に楽しめるドラマだという自信がにじみ出ていた。
確かに『大王世宗』では、世宗の卓越した人材登用、未来志向的な思考、文化と産業を率いる指導力などがしっかりと描かれている。
そのため、現代社会と重なりあう場面も多く、韓国放映時は視聴者や政治家たちまでが関心を寄せていたという。制作側の狙いが当たったと言っていいだろう。
韓国人にとって、世宗は朝鮮王朝の歴史上もっとも偉大な人物として認識されている。
1万ウォン紙幣の肖像にもなっているし、ソウル市の中心部には銅像が建てられている。また、世宗大学校や世宗文化会館など数々の施設にも名前が冠されている。
現代人にも称えられている世宗。世宗の卓越した政治力は、現代人も見習うものがある。韓国でのドラマの人気と高視聴率は、必然だったのかもしれない。
構成=韓ドラ時代劇.com編集部
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