イ・サンなど朝鮮王朝の王たちの権力はどれだけ絶対的だったのか

2020年06月27日 コラム #歴史人物
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韓ドラ時代劇でよく登場する朝鮮王朝の王様たち。実際にも朝鮮王朝の王の権限は絶対的なものだったといわれている。

例えば、朝鮮王朝時代の基本法典といえる『経国大典』には、さまざまな官職の権限が規定されているが、こと王の権限と役割については記述されて“いない”。これは、王が法で縛られない存在であったことを表している。

実際に朝鮮王朝の王は、立法、司法、行政、財政を一手に担っていた。死刑の判決を下せるのも、朝廷の人事権を握っていたのも王だ。当時は議政府と六曹を基盤にした行政機関が国務を担っていたため、その人事を握っていた王は、政治を思い通りに動かすことができたと考えられる。

名君とされる世宗王の銅像(写真=LEE WAN BOK)

王の権力の強さを知るためにわかりやすいのは、軍事関連の行事の記録ではないだろうか。例えば、「講武(カンム)」と呼ばれる軍事訓練を兼ねた狩猟には、騎兵や歩兵など3万人が動員されている。

最高権力者であり、神とも疎通する唯一無二の存在

軍事訓練とは名ばかりの遊戯に、3万もの人数を動かすのだから、その権限の大きさが伝わってくる。ちなみにその講武は、財政が厳しくなった16世紀以降、ほとんど行われていない。

さらに王は世俗的な権限だけでなく、神に近い存在とも考えられていた。国家祭礼を主宰できる王は、神と疎通できる者として、豊作の祈願なども行なっていたのだ。

国家の重要な権限をすべて握り、ときに超越者としても崇められた朝鮮王朝の王たち。残された記録だけを見ると、王はまさに“国家そのもの”だったといっても過言ではないだろう。

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