テレビ東京の韓流プレミアで放送中の『トンイ』。10月15日に放送された第53話は、愛と裏切り、そして運命がぶつかり合う激しい展開となった。
【関連】『トンイ』韓国放送時に世間を賑わせた「珍事件ベスト5」
物語の中で、世子(セジャ)はついに自分の病気のことを粛宗(スクチョン/演者チ・ジニ)に打ち明ける。その言葉は静かながらも大きな衝撃を与え、王と息子、そして宮廷全体に不安が広がっていく。
粛宗は驚きと怒りを隠せず、これまで真実を隠してきた張禧嬪(チャン・ヒビン/演者イ・ソヨン)を厳しく問いただす。
「世子の病を利用して、延礽君(ヨニングン/演者イ・ヒョンソク〔少年時代〕)を陥れようとしたのか」と怒鳴る声には、王としての怒りと父としての悲しみが入り混じっていた。張禧嬪は恐れと後悔に震えながらも、弁解の言葉を失う。
一方で、チャン・ムヨル(演者チェ・ジョンファン)がこの秘密を他人に漏らしたことで、世子の病の噂は宮中に広まり、禧嬪たちの勢力は一気に弱まる。
さらに、トンイ(演者ハン・ヒョジュ)を陥れようとしたユン氏(演者チェ・ラン)の計画も発覚し、彼女は捕まってしまう。信頼していた仲間が離れていき、張禧嬪は次第に孤立していく。
息子が病気を打ち明けたと知った瞬間、張禧嬪の心は崩れ落ちる。これまで守ってきた地位も、息子への愛も、すべてが崩れていく中で、世子は涙ながらに言う。「自分のためを思うなら話すべきだった。この国の世子として王になるのだと信じていたのに」と。
その言葉を聞いた張禧嬪は権力への執念と母の愛情の間で苦しむが、彼女はまだあきらめなかった。「せめて息子だけは守りたい」と願い、最後の計画を立てる。
危険を察したチャ・チョンス(演者ペ・スビン)は、トンイと延礽君を安全な場所に避難させようとする。だがその直後、東宮殿から火の手が上がる。
炎が夜空を赤く染め、混乱の中で禧嬪の仕掛けた罠が動き出す。刺客たちがトンイと幼い延礽君を狙う。燃え盛る火の中、トンイは身を挺して息子を守って切られてしまう。母としての愛が生んだ、悲しくも勇敢な選択だった。
第53話は、愛と野心、罪と罰がぶつかり合い、人の心の光と闇を浮かび上がらせた回である。誰もが信念と欲望の間で苦しみ、逃れられない運命に向かって進んでいく。
次回、トンイと延礽君に待つ運命とは。物語はいよいよ終わりと新たな始まりが交わる最終章へと進んでいく。
文=大地 康
■【関連】歴史上のトンイの晩年とは? ドラマと異なる「粛宗とのその後」
前へ
次へ