キム・ヨジンは、時代劇をよく見る人にはおなじみの女優だ。特に、人気が高かった時代劇でとても重要な役を演じてきた。
たとえば、『宮廷女官 チャングムの誓い』を思い出してみよう。この傑作時代劇では、済州島(チェジュド)に流されたチャングムに医術を教えたチャンドクという役で印象的な演技をしていた。
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続いて、同じくイ・ビョンフン監督の『イ・サン』では、正祖(チョンジョ)のカタキ役だった貞純(チョンスン)王后に扮していた。
さらに、『華政(ファジョン)』では光海君(クァンヘグン)を裏で支えた悪女の金介屎(キム・ゲシ)になりきっていた。
このように、キム・ヨジンは時代劇でクセが強いキャラクターによく扮していた。そんな彼女は、政権を揺るがす事件でスキャンダルを捏造されていた。
それは、どんな事件だったのだろうか。
2016年、かつての李明博(イ・ミョンバク)政権時代に作成されたブラックリストが大問題になった。そのブラックリストには政権に批判的な文化人が載っていて、該当する人たちはその活動を政権によって著しく妨害された。
しかも、キム・ヨジンの場合はあまりにもひどい話を捏造されている。それは何かというと、同じくブラックリストに載っていた男優のムン・ソングンと合成でヌード写真を作られていたのだ。
その内容が最悪だった。男女がベッドに横たわった写真の顔だけをキム・ヨジンとムン・ソングンにすりかえていたのだ。これほどひどい合成写真は、2人の俳優の印象を悪くするために、当時の国家情報院が意図的に作って大量に露出させていた。
こうした捏造は朴槿恵(パク・クネ)政権でも引き継がれ、同様のブラックリストも作成されてキム・ヨジンも被害者となった。
結局、朴槿恵(パク・クネ)政権は不正によって崩壊してしまい、キム・ヨジンの名誉は回復された。こうして「クセ者女優」は晴れて自由に女優活動ができるようになったのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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