ドラマ『イ・サン』を見ていると、登場人物の中に意外な親戚同士を見つけることができる。それは、イ・サン(イ・ソジン)の母親である恵慶宮(ヘギョングン)と、イ・サンの一番の側近である洪国栄(ホン・グギョン)なのである。
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ドラマの中で、恵慶宮に扮しているのはキョン・ミリであり、彼女が気の強い王族女性を堂々と演じている。一方、洪国栄はハン・サンジンが演じていて、権力を掌握した姿をときには尊大に表現していた。
この恵慶宮と洪国栄は、史実において先祖が、『華政(ファジョン)』のヒロインになっていた貞明(チョンミョン)公主(コンジュ)なのである。ドラマではイ・ヨニが美しく演じていたが、実際はどういう女性なのだろうか。
貞明公主は1603年に14代王・宣祖(ソンジョ)の娘として生まれた。母は仁穆(インモク)王后だった。宣祖の後を継いで15代王に即位した光海君(クァンヘグン)は貞明公主の異母兄だ。
その光海君は、貞明公主の弟の永昌大君(ヨンチャンデグン)を1614年に殺害し、仁穆王后と貞明公主を離宮に幽閉した。軟禁状態となった2人は必死に耐えたが、朗報がもたらされたのが1623年だ。16代王・仁祖(インジョ)がクーデターを成功させて光海君を廃位させたからだ。こうして仁穆王后と貞明公主は幽閉生活を解かれた。
以後、貞明公主は高官の息子だった洪柱元(ホン・ジュウォン)と結婚した。洪柱元のほうが3歳下だった。夫婦となった2人は豪華な屋敷に住んだ。仁祖が大妃(テビ)である仁穆王后に破格の待遇を与え、貞明公主も恩恵を受けたのだ。そればかりではなく、貞明公主は広大な土地を所有する地主になった。
こうした経済的な安定を背景に、彼女は7男1女を立派に育てた。そして、1672年に洪柱元が66歳で世を去り、1685年に貞明公主が82歳で亡くなった。
こうした経歴を持つ貞明公主。彼女の二男の4代後の直系子孫が恵慶宮であり、三男の5代後の直系子孫が洪国栄であった。2人は自分の先祖をさぞかし誇りに思っていたことだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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