韓国時代劇はどこまで史実に近いのか。この問題は常に話題になる話なのだが、ドラマ『トンイ』に関して言うと、ハン・ヒョジュが演じたヒロインのトンイは実在した淑嬪・崔氏（スクピン・チェシ）がモデルになっている。今回は、ドラマにはまったく出てこない史実について披露してみたい。
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張禧嬪(チャン・ヒビン)が1701年に粛宗(スクチョン)の王命により死罪になった際、奇妙な告発があった。それを行なったのは、張禧嬪の兄・張希載（チャン・ヒジェ）の腹心だった尹順命（ユン・スンミョン）で、告発状は「金春沢（キム・チュンテク）が張希載の妻と姦通していた」という衝撃の暴露で満ちていた。
この金春沢とは、淑嬪・崔氏の裏に控えていた男であり、ドラマ『トンイ』ではシム・ウンテクという名で出てくる。
尹順命による告発の結果、金春沢の覆面が剥がれ、彼の後ろ盾であった淑嬪・崔氏も醜聞の渦に飲み込まれることとなった。
その最中に、ある驚きの噂が広まった。それは、「淑嬪・崔氏の息子である延礽君(ヨニングン)が粛宗の子ではない」というものだった。噂の根源は延礽君が粛宗に全く似ていないという事実である。それが「粛宗と延礽君は親子ではない」という言説を生み出し、疑念を深めた粛宗が淑嬪・崔氏を疑い始めたという伝聞が広まった。
仮に延礽君の父が粛宗でないとするならば、誰が淑嬪・崔氏の子を宿したのだろうか。その答えとして浮上してきたのが「まさか……」の人物だった。なんと、金春沢なのである。彼は張希載の妻との不適切な関係を持つ男であり、延礽君の実父だと信じる者も現れた。
さらには、金春沢と淑嬪・崔氏の間に恋愛関係が存在したという野史（民間に伝承された歴史書）まで出現した。仮にこれが事実であるなら、淑嬪・崔氏は重大な罪を犯したことになる。なぜなら、国王の側室が他の男性と関係を持つという行為は、王に対する反逆罪に該当するからだ。
結果として、粛宗は仁元（イヌォン）王后を新しい正室として迎え、淑嬪・崔氏を冷遇して王宮の外に出してしまった。その後、粛宗は彼女と決して会わなかったと伝えられている。
粛宗は何を悟ったのか。淑嬪・崔氏をめぐる闇はとてつもなく深い。
文＝康 熙奉（カン・ヒボン）
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