時代劇『イ・サン』において、イ・サンの暗殺を狙う黒幕として恐ろしい存在感を見せているのが貞純(チョンスン)王后だ。本当にイ・サンの最大の敵であり、演じているのはキム・ヨジンである。
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彼女は時代劇でも活躍する個性派女優で、『イ・サン』の他にも強烈な悪女を演じている。それが『華政(ファジョン)』(2015年制作)でのキム・ゲシ(金介屎)の役だった。
このキム・ゲシは、史実でどんな女性だったのだろうか。
最初は14代王・宣祖(ソンジョ)のお付きの女官であり、貧しい家から来たとはいえ、その知性は他の誰よりも突出していた。宣祖の後継者争いが最高潮に達した時、キム・ゲシは有利な立場にないと予想されていた光海君(クァンヘグン)を強く支持した。厳然とした順位では、宣祖の側室が産んだ長男の臨海君(イメグン)が世子の座を継ぐ可能性が高く、二男の光海君は明らかに不利であった。
それでも、キム・ゲシはその絶妙な裏工作により、光海君に有利な状況を巧妙に築いた。1606年に宣祖の正室が永昌大君(ヨンチャンデグン)を出産すると、宣祖はその息子を世子にしようと画策し始めた。だが1608年に宣祖が急逝し、状況は一変した。2歳の幼い永昌大君が王位を継ぐことは困難を極め、結果として光海君が予定通りに王に即位することとなった。
しかし、光海君の王位は兄の臨海君、弟の永昌大君の両方から脅威を感じるものであった。それを察知したキム・ゲシは機先を制し、1609年に臨海君を自害に追い込み、1614年には永昌大君を暗殺した。その手段を選ばない冷酷さは、彼女が恐ろしい悪女であったことを物語っている。
とはいえ、キム・ゲシの行動は周囲の人々から怨念を買い、1623年に光海君がクーデターで廃位されると、彼女もまた斬首という悲惨な最期を遂げた。
こんな悪女をキム・ヨジンが『華政(ファジョン)』で演じたときも存在感が抜群だった。このように、キム・ヨジンは時代劇に欠かせない女優なのである。
文=大地 康
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