テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『イ・サン』。ドラマが新しい展開を迎える度に重要な登場人物が出てくるが、5月26日の第8話では、きわめつきの黒幕がついに登場してきた。
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それは、世孫(セソン)であるイ・サン(イ・ソジン)の即位を絶対に阻止しようとする対抗勢力の最大の重要人物であった。それが貞純(チョンスン)王后なのである。個性派女優として有名なキム・ヨジンが演じている。
この貞純王后は英祖(ヨンジョ)の二番目の正室である。父が老論派の重鎮であったので、彼女もまた完全に老論派の一員になっていた。
史実でも有名な話なのだが、貞純王后が王妃として暗躍したのが1762年、英祖が息子の思悼(サド)世子を米びつに閉じ込めて餓死させた時である。
なぜ英祖と息子の思悼世子の間で確執が生まれたのか。
当時、王宮の中でも派閥争いが激化していた。その中で、思悼世子を陥れるために彼の行状を英祖に悪く報告していたのが老論派の高官たちだった。そして、その連中を仕切っていたのが英祖の継妃だった貞純王后だったのである。
実際、貞純王后と思悼世子は仲が悪かった。それゆえ、貞純王后は意図的に思悼世子を窮地に追い詰める役割を果たした。その現実をイ・サンもよく知っていた。
しかし、イ・サンからすれば、貞純王后は形のうえで祖母なのだ。年齢は7歳しか違わないとはいっても、祖母である事実は変わらない。儒教精神が社会の隅々まで浸透していた朝鮮王朝の世界で、この「長幼の序」は絶対に守らなければならない基本原則だ。当然ながら、イ・サンも貞純王后に従うしかなかった。ここが彼の辛いところであった。
逆に言えば、自分の有利な立場を利用して貞純王后はイ・サンを陥れる陰謀をたくさん行なっている。そのあくどい行状はドラマ『イ・サン』でも次々に明らかになっていくだろう。そういう意味でも、主人公のイ・サンにとって貞純王后は本当に恐ろしい宿敵であった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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