4月12日からBSテレ東で放送がスタートした『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』。物語の舞台となっているのは1851年の朝鮮王朝時代であった。
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そして、シン・ヘソンが演じたヒロインの哲仁王后は1837年に生まれている。
本名はキム・ソヨンであり、朝鮮王朝の高官の娘であった。当時、絶大な権力を握っていた純元(スヌォン)王后の親戚となっており、その縁で哲宗(チョルジョン)の妻に選ばれた。
王宮に入ってきたのは1851年で14歳の時であった。そして王妃になるわけだが、その直前を描いているのが『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』の冒頭の場面だ。
つまり、現代韓国の大統領官邸の天才シェフであった男がタイムスリップしてキム・ソヨンの身体に魂が乗り移ってしまう、というのがこのドラマのツボであった。
こうしてキム・ソヨンは言動が全て男そのままになってしまうのだが、歴史上の哲仁王后は性格がとても穏やかで感情を表に出さない女性だったと言われている。要するに、ドラマでシン・ヘソンが演じた哲仁王后とは真逆の性格だったのである。
王宮でわがままにふるまうこともなかったので、女官の間ではとても評判が良く、周囲から慕われていた。朝鮮王朝には42人の王妃がいたが、その中でも人徳がある王妃としてトップランクであった。
哲仁王后は1858年に哲宗の長男を産んでおり、将来の国王候補として大いに期待されたが、すぐに亡くなってしまった。この時が哲仁王后にとっては一番つらかっただろう。
1863年に哲宗が32歳の若さで世を去ってしまうと、彼女は次に即位した26代王・高宗(コジョン)の大妃となり、王宮の中で高い存在感を見せていた。
しかし1878年に41歳で亡くなっている。こうした人生を歩んだ哲仁王后が『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』で主人公になり、現代韓国でいきなり人々によく知られるようになった。本来は地味な性格で歴史的にも無名だったのだが、人気ドラマの影響力はかくも強烈なのである。今や哲仁王后のことを知らない韓国人はほとんどいないだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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