奇抜な設定で非常に面白い『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』の序盤を見ていると、キム・ジョンヒョンが演じている25代王・哲宗(チョルジョン)が、国王として君臨しているのに政治力を発揮できていない。それどころか、キム・テウが扮しているキム・ジャグン(金左根)にまったく頭が上がらない状態になっている。
【写真】『哲仁王后』哲宗役キム・ジョンヒョン、実はこんなドラマにも出演していた!!
実際、ドラマの中ではキム・ジャグンこそが当時の朝鮮王朝の最大権力者だと紹介されている。
なぜ、こういう逆転現象が起きているのだろうか。
カギを握る人物が、ペ・ジョンオクが扮している大王大妃の純元(スヌォン)王后だ。
彼女はもともと23代王・純祖(スンジョ)の正室であり、実家が安東(アンドン)・金(キム)氏の一族だ。そして、純元王后の強い影響力によって、安東・金氏は絶大な権力を手に入れることができるようになった。
その際に中心人物になったのが、純元王后の弟だったキム・ジャグンだ。
彼は朝鮮王朝の官僚トップとなる領議政(ヨンイジョン/総理大臣に該当する)に何度も就いている。さらに、純元王后と結託して王族の末端にいた哲宗を国王に据えて、裏で傀儡(かいらい)政権を動かそうとしたのである。
『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』では、哲宗が操り人形にたとえられる場面が何度も出てくるが、それはまさに史実に合った描き方であり、哲宗はキム・ジャグンの許可がなければ何も決められなかったと言われている。
しかし、ドラマと史実は違う。『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』では哲宗をもっと骨っぽい人物として描いている。キム・ジョンヒョンは堂々たる姿で哲宗を演じていて、安東・金氏の権勢に抵抗する気骨を見せていた。
そういう哲宗に対して、シン・ヘソンが演じる哲仁(チョリン)王后はどのような態度を取っていくのか。その成り行きが今後の見どころの一つになっていく。
『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』は単なるコメディ時代劇ではなく、歴史的に重厚な世界もしっかり描いている。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【写真】『哲仁王后』で今までとは違った印象を見せるシン・ヘソンの出演作に注目!
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