【『シュルプ』の歴史解説】王妃は常に廃妃にされる危機感に苦しめられたのか

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ドラマ『シュルプ』は朝鮮王朝時代を描いた時代劇だが、物語の設定は史実に基づいていない。つまり、架空の時代を舞台にしており、登場人物も実在していないのだ。

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とはいえ、朝鮮王朝時代の王家の内情を本当に詳しく扱っている。その中で、キム・ヘスが演じているファリョン王妃は5人の息子を産んでおり、その教育に命がけになっている。

何よりも、ファリョン王妃はキム・ヘスクが扮している大妃(テビ)と厳しく対立しており、息子たちを立派に育てなければならない切実な理由があった。

本来、国王と王妃の間に生まれた息子は「大君(テグン)」と呼ばれる。その一方で、国王と側室の間に生まれた息子は「君(クン)」と称される。

この場合、「大君」と「君」の間には決定的な違いがある。

画像=tvN

王家の実情を詳しく伝える創作物語

それは、朝鮮王朝の国王の正式な後継者は、嫡男の長子が候補の筆頭になるからだ。どんな場合でも、王妃が産んだ息子が一番重んじられる。

ただし、王妃が息子を産まなかった場合のみ、側室が産んだ「君」にも国王の後継者になる資格が生まれる。

朝鮮王朝の歴史上で、国王が「君」の中から選ばれたのは14代王の宣祖(ソンジョ)が初めてだ。それ以前の国王はすべて王妃から生まれている。

たとえば、10代王・燕山君(ヨンサングン)は確かに「大君」でなく「君」と称されたが、王妃だった母が廃妃になったので「君」と呼ばれただけであり、彼自身は王妃から生まれた嫡男であった。

『シュルプ』に話を戻すと、キム・ヘスクが演じる大妃はもともと側室であったのに、当時の王妃が廃妃となってしまい、側室から王妃に昇格した女性であった。そして、自分が産んだ「君」を国王にさせることができたのである。

以後、大妃(国王の母)として絶大な権力を持ち、嫁であるファリョン王妃に厳しい目を向けている。

王妃といえども、決して安泰ではない。廃妃になってしまう王妃が朝鮮王朝の歴史には何人もいた。そうした事実が重圧になってファリョン王妃を苦しめていた。

『シュルプ』は創作の物語とはいえ、王家の実情をとても詳しく伝えてくれている。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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