時代劇『風と雲と雨』ではパク・シフが占術家チェ・チョンジュンを堂々と演じているが、ドラマの中にとてもよく出てくる用語が「大監(テガム)」である。
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特に、王宮で奉職している高官たちに呼びかけるときに、ひんぱんに大監という呼称が飛び交っている。実際、この大監はどういうときに使われるのだろうか。
朝鮮王朝において大監とは、正二品以上の品階を持った高官に対する尊称である。つまり、正一品、従一品、正二品の品階を持った高官に対して使われるものなのだ。
具体的に、正二品以上の高官を挙げてみよう。
まずは、領議政(ヨンウィジョン/総理大臣に相当)、左議政(チャウィジョン/副総理に相当) 、右議政(ウウィジョン/副総理に相当)である。この3人は政府のトップ3であり、すべて正一品を与えられている。当然ながら大監と尊称されるのだ。
他には、政府の主要官庁を形成する吏曹(イジョ/文官の人事を担当)、戸曹(ホジョ/財政を担当)、礼曹(イェジョ/儀礼と外交を担当)、兵曹(ピョンジョ/軍務を担当)、刑曹(ヒョンジョ/法務と刑罰を担当)、工曹(コンジョ/土木を担当)などの判書(パンソ/長官に該当する)も品階が正二品なので、大監と尊称されるのである。
当然ながら、従二品以下は大監と呼んではいけないので、特に注意しなければならない。あくまでも、朝鮮王朝では主要官庁の長官以上が大監に該当するのだ。
『風と雲と雨』を例に取ると、政権で絶大な権力を握っている壮洞・金氏(チャンドン・キムシ)のトップクラスは正二品以上であり、最長老のキム・ジャグン(チャ・グァンス)や息子のキム・ビョンウン(キム・スンス)は大監と尊称されている。
実際、朝鮮王朝を舞台にした時代劇では、個性の強い高官が悪役を担うケースがとても多いが、彼らはいつも部下から大監と呼ばれている。このような悪役の登場場面はたくさんあるので、必然的にドラマのセリフに大監がやたらと出てくることになる。
その場合でも、「大監は現代でいえば大臣クラス」だと考えておけばいいだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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