【深発見50】1200万人の大ヒット映画『国際市場で逢いましょう』の舞台

2022年02月10日 紀行 #大島裕史コラム
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2015年1月、韓国では『国際市場(クッチェシジャン)で会いましょう』という映画が、観客が1200万人を超える大ヒットを記録した。 

国際市場は、釜山タワーのある龍頭山の西側にあり、衣料、雑貨、食品、電化製品など、あらゆる物が売られている。もともとは闇市であった。

 

【深発見45】列島から最も近い街・釜山と日本との結びつき

1945年8月15日、日本の敗戦により朝鮮半島各地に暮らしていた日本人の多くは、釜山港から日本に帰国した。

その際、制限があって日本に持ち帰れない品物を売りに出した。それが、国際市場の始まりだとされている。

そして朝鮮戦争が勃発すると、北朝鮮から最も遠い釜山は避難民で溢れ、それと同時に、国際市場も発展した。

映画『国際市場』も、朝鮮戦争中、北朝鮮から避難し、釜山の国際市場で育った男性の、苦難の現代史を描いている。

映画『国際市場』韓国ポスター

釜山には、国際市場の他にも、海産物市場として知られるチャガルチ市場がある。道端ではハルモニ(おばあさん)たちが水揚げされた魚介類を売っている。

2006年に中心となるビルが建て替えられ、随分近代的な感じになったが、市場独特の雰囲気は残っている。

チャガルチ市場は1920年代に形成されているが、本格的に巨大市場となったのは、やはり朝鮮戦争後である。

釜山に避難して来た北朝鮮からの避難民は、生活の糧として、水揚げされた海産物を売り歩いた。今日、チャガルチ市場で海産物を売るハルモニたちには、北朝鮮地域の出身者が多い。

文=大島 裕史

大島 裕史 プロフィール
1961年東京都生まれ。明治大学政治経済学部卒業。出版社勤務を経て、1993年~1994年、ソウルの延世大学韓国語学堂に留学。同校全課程修了後、日本に帰国し、文筆業に。『日韓キックオフ伝説』(実業之日本社、のちに集英社文庫)で1996年度ミズノスポーツライター賞受賞。その他の著書に、『2002年韓国への旅』(NHK出版)、『誰かについしゃべりたくなる日韓なるほど雑学の本』(幻冬舎文庫)、『コリアンスポーツ「克日」戦争』(新潮社)など。

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