人気ドラマ『トンイ』に出てくる国王といえば、なんといっても19代王の粛宗(スクチョン)だ。この王をチ・ジニが柔らかいイメージで演じていて、ドラマを通して好感を持った人も多いことだろう。
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実際の粛宗は政治的な業績が多く、経済の発展や国防の強化などで成果を挙げている。その一方で、悪女と呼ばれた張禧嬪(チャン・ヒビン)を異様に寵愛し、側室だった彼女を王妃にまで昇格させている。それは『トンイ』でもおなじみのことで、イ・ソヨンが高慢な王妃を仰々しく演じていた。
結局、張禧嬪は王妃から転落して死罪になってしまうのだが、彼女を図にのせたという点で粛宗にも大いに責任があった。そういう意味で、功罪が分かれるのが粛宗という国王の評価であるに違いない。
ただ、粛宗が行なった文化的な決定の中で後世の人たちが喝采した出来事があった。それは何かというと、歴史上で有名な「死六臣」の名誉を回復し、6代王の端宗(タンジョン)の王位を復位させたことだ。
これは大変立派な行ないであった。
まずは「死六臣」について説明しよう。7代王の世祖(セジョ)が甥の端宗を脅して王位を強奪したとき、端宗の復権をめざして反旗をひるがえしたのが、成三問(ソン・サムムン)を中心とする6人の忠臣であった。結局、彼らは謀反の罪で処刑されてしまった。
しかし、彼らの名声は高まるばかりで、正当に評価されることを望む声が多かった。そして、ようやく200年以上の歳月を経て粛宗の王命によって「死六臣」の名誉が回復されたのである。
同時に、魯山君(ノサングン)という格下の肩書しか得られなかった端宗が、正式に尊号を得ることができるようになった。
こうして、ずっと不遇の扱いしか受けてこなかった端宗が国王として尊敬を受けられるようになったのである。
是正するのに200年以上がかかったのだが、粛宗の決断力があってこそ実現した名誉回復であった。以後、「死六臣」と「端宗」は歴史に残る忠臣と国王として偉大な存在になっていった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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