朝鮮王朝の国王27人には「暗殺を狙われて毒を盛られたのでは？」と目されている人が何人もいる。
その中で一番可能性が高かったと言われているのが、12代王・仁宗（インジョン）と20代王・景宗（キョンジョン）と22代王・正祖（チョンジョ）である。この3人を毒殺したと疑われている人は果たして誰なのだろうか。
最初に取り上げるのは、11代王・中宗（チュンジョン）の三番目の正室だった文定王后（ムンジョンワンフ）である。
彼女は、中宗の先妻が産んだ仁宗の暗殺をいつも狙っていた。自分がお腹を痛めて産んだ我が子を国王にするためだった。
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案の定、仁宗が急死したときも文定王后による毒殺が疑われた。彼女には状況証拠が揃いすぎていたからだ。
こうして文定王后はまんまと我が子を13代王・明宗（ミョンジョン）として即位させることに成功し、権力を仕切って悪政を働いた。まさに、救いようがない悪女だった。
次に取り上げるのは英祖（ヨンジョ）だ。
彼の異母兄の景宗は、即位してわずか4年で急死した。英祖が勧めた漢方薬と食べ物が原因で景宗の病状が悪化したのは間違いなかった。
景宗には子供がいなかったので、英祖が後継ぎの座をめぐって毒殺をはかったというが噂が宮中に広まった。彼には毒殺を狙う根拠が明白だった。真相は闇だが、疑惑はずっと残っていた。
最後に指名するのは貞純王后（チョンスンワンフ）である。
彼女は英祖の二番目の正室で、王妃になったときに英祖の後継者は息子の思悼世子(サドセジャ)だったが、相性がとても悪く、貞純王后は思悼世子の失脚を狙っていた。
その思悼世子が餓死して息子が22代王・正祖（チョンジョ）として即位したとき、貞純王后はずっと謹慎生活を送らざるをえなかった。そして、1800年に正祖が亡くなったときに貞純王后が毒殺事件の首謀者と見なされた。
彼女には、生き残るために毒殺を狙う明確な意志があった。歴史研究が進んでも、貞純王后の毒殺説は、今も朝鮮王朝史の定説とみなされている。
文＝康 熙奉（カン ヒボン）
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