NHK・BSプレミアムで放送中の『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』は、舞台が古代の高句麗(コグリョ)になっている。主役のキム・ソヒョンがピョンガン王女を演じているが、彼女の父親の平原王(ピョンウォンワン/在位559-590年)は高句麗の25代王だ。
彼は6世紀後半に実在した人物。同時代に生きていたのが、新羅(シルラ)の24代王だった真興王(チヌンワン)である。
真興王といえば、『花郎(ファラン) 希望の勇者たち』で主役のパク・ヒョンシクが演じていた。このように、『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』と『花郎(ファラン) 希望の勇者たち』は、国は違うけれど、まったく同じ時期を描いていたのである。
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そこで、6世紀後半の勢力図を見てみよう。
当時、朝鮮半島では北部に高句麗、南東部に新羅、南西部に百済(シルラ)が領土を確保していた。そして、三国は激しい領土争いを展開したわけだが、特に国王として存在感を示したのが、平原王と真興王であった。
平原王は『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』で冴えない国王として描かれているが、史実では評価が高かった。数々の戦争で成果も挙げている。
また、『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』のモチーフとなっている「ピョンガン王女と馬鹿のオン・ダル」の逸話でも、オン・ダルを大出世させた恩人になっている。
一方、真興王は540年に6歳で即位したあと、大人になってから国王として才能を発揮した。
特に、人材育成を熱心に行なって若者たちを鍛え、花郎を創設して国力を上げていった。
そういう意味で、真興王は新羅の「中興の祖」と言える国王だった。
このように、平原王と真興王は同時代のライバルとして切磋琢磨したのである。
しかし、100年も経つと事情はガラリと変わる。三国は対照的な結末を迎えるのだ。結局、百済と高句麗は滅亡し、勝ち残った新羅が朝鮮半島を統一した。
こうした歴史を考えながら『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』を見ると、さらに歴史のダイナミズムを感じることだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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