NHKのBSプレミアムで毎週日曜日の午後9時から放送されている『花郎(ファラン) 希望の勇者たち』は、8月15日が第10話となっている。
結成された花郎たちはいよいよ公演を行なうようになるのだが、ここでも事件が起こってしまう。権力を握っている只召(チソ)太后がいろいろ関係しているのだが、パク・ヒョンシクが演じている新羅(シルラ)の24代王・真興王(チヌンワン)はドラマでは花郎に所属していて困惑するばかりだ。
そういう面で、只召太后と息子の真興王は特殊な親子だと言える。
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このあたりは、史実ではどうなっていたのだろうか。
歴史上の事実を言えば、真興王は先代だった法興王の弟の息子だ。
そして、彼の母親が法興王の娘であった。
真興王は534年に生まれているが、法興王が540年に亡くなったのにともない、わずか6歳で即位している。
さすがにそれだけ幼いと政治を行なうことができないので、母が只召太后となって摂政を行なった。これは朝鮮半島の歴史ではよくあることで、後の朝鮮王朝でも母が幼い王に代わって摂政をすることが多かった。いわば、伝統なのである。
朝鮮王朝で最古の歴史書と言われる『三国史記』には、真興王の業績が細かく記されているが、真興王と只召太后の関係については特別な記述がない。また、只召太后の摂政にも何も触れていない。
それだけに、歴史的に只召太后の摂政は特に問題もなく普通に行なわれて、真興王は成人してから自ら統治して成果を挙げたと考えていいだろう。
しかし、ドラマの『花郎(ファラン) 希望の勇者たち』においては、真興王と只召太后を複雑な関係に描いている。これは、ドラマ的な創作に違いない。
『三国史記』によると、真興王は576年に「花郎」を創設したと記録されている。こうした事実をベースにして、『花郎(ファラン) 希望の勇者たち』はフィクションを加えて、ドラマを重層的に制作していったのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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