朝鮮王朝では王宮で奉職する女官たちの世界を「内命婦」(ネミョンブ)と言った。ここには常に1000人くらいの女官がいたと言われている。
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女官の官位は、「一品」から「九品」までの9ランクに分けられていて、それぞれに「正」と「従」の区別があり、「正」のほうが序列で上だった。つまり、一番上の「正一品」から下の「従九品」まで、官位には18ランクの違いがあったのだ。
この中で、『宮廷女官チャングムの誓い』によく出てくる尚宮(サングン)は、官位が正五品だ。ほぼ真ん中のランクといえるだろう。
しかし、実際に「一品」から「四品」までは国王の側室によって占めていた。それゆえ、具体的に働く女官の最上位は「五品」からだった。つまり、尚宮は働く女官の最高位だったのである。
『宮廷女官チャングムの誓い』を見ていればわかるように、幼い子供のときから王宮に入る女性が多い。そんな子供が、権力を握るために虎視眈々と宮中入りしたとは思えない。むしろ、現実的に王宮に入らなければならない切実な理由があったのだ。
なにしろ、宮中に入れば経済的に恵まれることが大きい。実際、女官は今で言う国家公務員と同じであり、もらえる俸禄は十分に生活していける金額だった。
とはいえ、女官たちにはほとんどお金の使い道がなかった。なぜなら、王宮から一歩も外に出ることができなかったからだ。結局俸禄のほとんどを家族や親族に送った。そして、残ったお金を化粧品などに費やした。
仮に、女官が側室になって国王の寵愛を受けるようになれば、その一族は信じられないくらいに繁栄する。それを願って娘を宮中に送った親もさぞかし多いことだろう。
特に、身分は高くても生活に困窮している家はいくらでもある。たとえ貴族階級の両班(ヤンバン)といえども、みんながいい生活をしていたわけではなかった。両班でも官職につけない人間や、家庭の経済状況が著しく悪かったケースもあった。そういう一家にとっては、飢え死にするよりも王宮に娘を送ることが、わずかに生き残る道だった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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