イ・ヨンエが主演している『宮廷女官チャングムの誓い』では、16世紀前半の王宮が登場してくる。当時の王宮には1000人ほどの女官がいたが、彼女たちは全員が内命婦(ネミョンブ)の所属であった。
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つまり、内命婦こそが女官たちの総本山だったのだ。それゆえ、内命婦を抜けた女性は王宮で生きていくことはできなかった。
それは、あくまでも女官の話だ。それでは、王宮で働く男性たちの所属はどうなっていたのだろうか。
朝鮮王朝の政治の最高機関が議政府(ウィジョンブ)であり、6つの所属に分かれていた。
それは、「吏曹(イジョ)/文官の人事などを担当」「戸曹(ホジョ)/徴税と財政などを担当」「礼曹(イェジョ)/儀礼と外交と科挙などを担当」「兵曹(ピョンジョ)/軍務を管轄して武官人事を担当」「刑曹(ヒョンジョ)/法務を担い刑罰を実行」「工曹(コンジョ)/土木事業を管轄」である。
以上が行政の中枢部であり、さらに多くの中央官庁があった。代表的な官庁の役割を見ていこう。
・承政院(スンジョンウォン)/王の秘書役で特に王命を取り仕切った
・義禁府(ウィグムブ)/王命に従って罪人を取り調べた
・司憲府(サホンブ)/官僚の不正を糾弾して風紀を守った
・司諫院(サガウォン)/王に諫言して政治の非を指摘した
・漢城府(ハンソンブ)/首都の司法と行政と治安維持を担った
どれも韓国時代劇によく出てくる官庁である。
なお、『宮廷女官チャングムの誓い』でヒーロー的な扱いになっているミン・ジョンホ(チ・ジニが演じている)は、もともと文官だったが選抜されて、国王の護衛を担当する部隊「内禁衛(ネグミ)」に所属した。それだけではなく、高官の不正を調査するために司憲府に移っている。
史実では、官僚が組織を変えるというのは容易ではないが、有能すぎるミン・ジョンホはどの官庁も絶対にほしい人材だった。それゆえ、ドラマではストーリーに応じて所属を変えていたのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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