『オクニョ 運命の女（ひと）』はとても面白い時代劇だったが、このドラマの登場人物の中で「悪の集団」と呼べるほどの悪人揃いの一族がいた。それが、文定（ムンジョン）王后、尹元衡（ユン・ウォニョン）、鄭蘭貞（チョン・ナンジョン）という3人だった。まさに、悪人ばかりのファミリーだったのである。
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その中で筆頭格のワルだったのが文定王后である。彼女は、11代王の中宗（チュンジョン）の三番目の正妻だった。
そして、中宗の二番目の正妻が産んだ長男が仁宗（インジョン）で、最初は血がつながっていない息子を可愛がっていたが、文定王后も中宗の息子を産むようになると、途端に仁宗が邪魔になって暗殺を狙い始めた。
結局、1544年に中宗が亡くなって仁宗が即位したが、わずか8カ月で急死してしまった。文定王后が手先の鄭蘭貞を使って毒殺したと言われている。その末に即位したのが13代王の明宗（ミョンジョン）だった。彼は11歳という未成年だったので、文定王后が代理で政治を仕切った。
そのころ、朝鮮半島では凶作が続いて餓死者が多かったが、文定王后は何の対策も立てずに民を見殺しにした。その一方で、賄賂で政治を腐敗させた。
そんな悪徳の王后の弟が尹元衡（ユン・ウォニョン）である。狡猾な彼は、姉の悪政を利用して大出世を果たした。この男も本当にひどい政治家だった。
彼の妾となっていたのが鄭蘭貞（チョン・ナンジョン）である。彼女は文定王后の陰で数々の悪事を行なった。さらには、尹元衡と共謀してその妻を無残に殺し、自分が妾から正妻になっている。そのうえで、高い地位を得てから、相変わらず政治の裏舞台で様々な陰謀を働いたのである。それは、『オクニョ 運命の女（ひと）』でも様々なエピソードで描かれた通りだった。
このように、文定王后と尹元衡と鄭蘭貞の3人は、歴史に残るほどの悪の一族であった。
文＝康熙奉（カン・ヒボン）
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