おぞましき女官の世界には恐怖の「火を放つ儀式」があった!

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朝鮮王朝では、女官の世界を「内命婦」(ネミョンブ)と言った。この「内命婦」には、時代に応じて500人から1000人くらいの女官が所属していた。

女官は、立場上はすべて国王と結婚しているとみなされていた。これが大前提である。それゆえ、その生活は厳格に制限された。

仮に、女官が国王ではない他の男性と性関係を持てば、地位の高低に関係なく男女はすぐに斬首された。国王に対して不義を働いたという罪である。

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もし女性が妊娠していれば出産後100日を経てから処刑された。この「100日」という日数は、産まれた子供に乳を与えるための執行猶予だった。しかし、最終的に子供が100日を過ぎれば死罪となる運命だった。そして、残された子供は身分が低い扱いを受けざるをえなかった。

女官は常に緊張を強いられていた

もともと、女官たちを厳しく取り締まり処罰することは、彼女たちが宮廷内の秘密と国家事情を熟知していたということが背景にあった。国王ではない他の男と姦通したり寝床を共にすれば、それだけで大事な情報が外部にもれる危険性があったのだ。もちろん、男性も国王の女性に手を出したことになるので、すぐに打ち首となった。王宮で働く男性が女官に手を出すというのは命懸けだったのだ。

さらに、他の罰で宮廷から追い出された女性は、生涯にわたった結婚できないようにさせられた。それだけに、宮廷にいる女官は、いかなる罰も受けないように常に緊張を強いられていた。

2007年公開の映画『宮女』でも女官たちの実態が描かれていた(写真=映画『宮女』韓国ポスター)

そして、女官たちの口を堅く封じ込めるために行なわれたのが「火を放つ儀式」だった。これは毎年行なわれる行事で、宮中入りした見習いの女官たちを立たせて、彼女たちの口に松明を持っていき、口が焦げる寸前まで恐怖させて威嚇するというものだった。女性にとっては身が凍るような儀式だった。

女官たちにとって、宮中は未知の世界であると同時に、おぞましい世界でもあった。国王をしっかりと奉り、言葉一つ一つにも細心の注意を払うように教育された。しかも、「火を放つ儀式」のような脅しがあったからこそ、女官たちは部屋に2人でいるときも外に聞こえないようにヒソヒソと話したのである。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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