士林派とは第9代王・成宗(ソンジョン)が重用した儒学者たちの派閥であり、朝鮮王朝の政治中枢を担った派閥だ。
対する勲旧派は、第7代王・世祖(セジョ)の王位簒奪のクーデター「癸酉靖難(ケユジョンナン)」で、世祖を支えた臣下たちの派閥である。勲旧派は徐々に歴史の中から姿を消していくが、士林派とは常に対立していた。
こうした数々のキーワードを分析していくと、『太陽を抱く月』の舞台になった時代は、士林派が登場した成宗の時代から、景福宮が存在した宣祖の時代までに限定することが可能ではないだろうか。
もちろん『太陽を抱く月』は架空の物語であるため、はっきりとした史実のモデルは存在しない。
それでも、登場人物は誰を参考にしたのか、どの時代を舞台にしたのかと、想像を膨らませることはできる。
もしかしたら、そういった推測ができるのも『太陽を抱く月』の醍醐味の一つなのかもしれない。