『トンイ』実在した重要人物/粛宗の政治的手腕はどこまで優れていたのか

このエントリーをはてなブックマークに追加

テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『トンイ』では、『宮廷女官 チャングムの誓い』の武官ミン・ジョンホ役で有名になったチ・ジニが粛宗(スクチョン)を演じている。ドラマの上で、チ・ジニは武官から国王に大出世したわけだ。

【関連】『トンイ』俳優チ・ジニ、実は「もう時代劇は撮らない」と宣言していた!!

そんなチ・ジニが理知的に演じた粛宗…史実ではどんな人物だったのか。

1661年に生まれた粛宗は、1674年に13歳で王位に就いている。成人するまでは高官たちに政治をまかせていたが、大人になってからは積極的に主導権を取るようになった。

粛宗は、庶民の暮らしを安定させるために、まず農業の基盤を固めることに心血を注いだ。同時に彼は、商いの活性化を奨励した。朝鮮王朝が国教とした儒教は、礼節を重んじ、商業をしばしば低く見る傾向があった。

物質的な利を求めることは卑しむべきこととされ、精神世界こそが高尚であるとされた時代だ。しかし粛宗は、その価値観に風穴を開けた。民の腹を満たし、暮らしを安定させるためには、商業の繁栄こそ欠かせないと悟っていたのである。

『トンイ』の粛宗
『トンイ』でチ・ジニが演じた粛宗 

強力な統率力を備えた国王

彼は貨幣鋳造事業を本格的に進め、市場を活気づける制度の整備に尽力した。新たに流通した貨幣は商人たちの手を渡り、都市と農村を結ぶ道を潤わせ、17世紀から18世紀にかけて民生の向上をもたらした。

さらに粛宗は国防にも鋭い眼差しを向けた。国境の荒野に堅固な城を築き、軍備を増強して異民族の侵攻を未然に防いだ。これらの施策は、ただ武力を誇示するためではなく、民の安寧を守る盾であった。歴代27人の王の中でも、彼が強力な統率力を備えた1人であることは疑いない。

しかし、そんな粛宗を悩ませたのが党争である。南人(ナミン)派と西人(ソイン)派の争いは宮中を混乱させた。だが、粛宗はこの暗雲をも利用した。党派の対立を読み、己に忠を誓う側を厚遇することで王権を高めたのである。この冷徹さと計算高さこそ、彼の政治力の真骨頂であった。

以上のように、粛宗は農政と商業政策と国防で力を発揮し、さらに権謀術数の渦中で王権を強化した。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

【関連】『トンイ』と史実、ここが違う!! 王・粛宗と張玉貞の「ただならぬ」関係

【写真】『トンイ』の主演女優たち、今何してる?4人の近況をまとめて紹介!

【関連】【トンイの真実】美化されたドラマ。本当は恐ろしかったトンイの「裏の顔」

前へ

1 / 1

次へ

関連記事


RANKINGアクセスランキング

写真


注目記事