【ネタバレあり】予想は外れた…それでも『イカゲーム3』が示した韓国社会の“選別”

2025年07月02日 コラム #女優 #Netflix
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「絶対にチョ・ユリ演じる“ジュニ”が生き残るはず——」

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『イカゲーム』シーズン2のラストを見届けたあと、筆者は迷いなくそう予想した。

※ここから先はシリーズ完結となるシーズン3のネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。

Netflixオリジナルシリーズ『イカゲーム』が、ついにシーズン3で完結を迎えた。

お金に困窮した456人が、賞金456億ウォン(約46億円)をかけて命懸けの“ゲーム”に挑む——。もはや説明不要のこの物語は、世界中に衝撃を与え、社会現象を巻き起こしてきた。

『イカゲーム3』ポスター
(画像=Netflix)

シリーズを通して印象的だったのは、ゲーム内容の巧みさだ。だるまさんが転んだ、綱引き、大縄跳びなど、誰もが子どもの頃に遊んだことがある素朴なルールをベースにしながらも、老若男女がフェアに競えるよう構成されている。若者が脱落し、老人が生き残る。男性が敗れ、女性が勝ち残る。そこには、物理的な力だけでは語れない“生存のリアリティ”があった。

さて、本題はここからだ。

筆者は『イカゲーム』の熱心なファンで、シーズン2・3を心待ちにしていたひとりである。そして、シーズン3が始まる前、誰が最後まで生き残るのかを予想していた。最有力候補として私が挙げたのは、「222番のジュニ(演者チョ・ユリ)」と「149番のクムジャ(演者カン・エシム)」だった。なかでもジュニに強く賭けていた。

カン・エシム(左)、チョ・ユリ
(写真=Netflix)

 

「妊婦=守られる存在」

その理由は、韓国やアメリカにおける“妊婦や子ども”への特別な視線にある。アメリカでは、子どもに対する犯罪が最も重く罰せられると言っていいほどであり、社会的に弱者とされる存在への保護意識は強い。そうした文化的背景を踏まえれば、妊婦という立場のジュニが守られる可能性は高いと考えた。

実際、ゲームが進む中でも、ジュニは周囲に助けられながら生き延びていった。子供を出産した後も、私は「彼女が最後まで残る」と信じて疑わなかった。なぜなら、赤ちゃんは1人で生きられないから。主人公ギフン(演者イ・ジョンジェ)の性格を鑑みれば、自ら命を差し出してでも赤ちゃんを守る選択をする、そう確信していた。

だが、ジュニは自ら命を絶つという衝撃の展開に。思わず「妊婦じゃなくなったからか」とさえ考えた。そして、最終的に生き残ったのは、赤ちゃんだった。

チョ・ユリ
(写真=Netflix)

これまでのシリーズでも描かれてきたように、「自己中心的な人間」「いじめを行う者」「薬物に依存する者」など、社会的に“悪”とされる人物は、いずれも無残な最期を遂げてきた。それはまるで、アメリカのホラー映画でブロンドの美女が真っ先に殺されるといった、ある種の“社会的コード”を踏襲しているようでもあった。

一方で、難病の娘を抱える父、「247番のギョンソク」(演者イ・ジヌク)は生き延びた。ここでも“善き父親像”は救われる。一方、同じく親子として登場した「149番のクムジャ」と「007番のヨンシク」(演者ヤン・ドングン)はともに中年というところから、社会の視点の差を感じざるを得ない。

『イカゲーム』ポスター
(写真=Netflix)

とはいえ、『イカゲーム』最大の魅力は、こうした視点の共有・議論が世界中で交わされるところにある。物語の結末に驚いたり、納得したり、あるいは反発したり。誰もが自分なりの答えを持てるドラマだった。だからこそ、ここまで社会的ムーブメントになり得たのだろう。

一大ブームを巻き起こした『イカゲーム』が完結した今、次にそのバトンを受け継ぐ作品はどんなテーマを掲げ、私たちをどんな考察へと誘ってくれるのだろうか。期待は尽きない。

(文=韓ドラ・時代劇.com編集者)

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