【韓国ドラマのハングル活用術】『善徳女王』で女王はなぜ폐하 (ペハ)と呼ばれるのか

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韓国においては時代劇のことを「사극(サグッ/史劇)」と呼んでいる。その多くは、朝鮮時代(조선시대/チョソンシデ)が舞台になっている。しかし、古代の三国時代(삼국시대/サングッシデ)を描いた作品もたくさんある。その中で特に有名なのが『선덕여왕(善徳女王)』だろう。

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このドラマの舞台は、後に三国を統一した新羅(신라/シルラ)であった。この国は선덕여왕が即位してから急速に国力を向上させ、660年に百済(백제/ペクチェ)を滅亡させ、668年にはかつて最強を誇った高句麗(고구려/コグリョ)を倒した。

そして、連合していた中国の唐の勢力をついに追い出して、676年に朝鮮半島で最初の統一国家となった。以後、新羅は935年に高麗(고려/コリョ)に帰順するまで朝鮮半島を統治していた。

ドラマ『善徳女王』を見ていると、主役のイ・ヨウォンが扮した女王は、臣下から「폐하 (ペハ/陛下)」という尊称で呼ばれていた。これは国を統治するトップなのだから当然かもしれない。

しかし、朝鮮王朝を舞台にした時代劇ではどうだろうか。このときは、臣下が国王を呼ぶときには「전하(チョナ/殿下)」という尊称を使っていた。なぜ、古代と朝鮮王朝では違っていたのか。

『善徳女王』
時代劇『善徳女王』でイ・ヨウォンが演じた善徳女王(写真=(C)MBC)

歴史的な中国との関係

その鍵を握っているのが中国の存在だ。朝鮮王朝時代には、朝鮮半島が中国の冊封体制に入っていたことが大いに関係している。この場合、中国の皇帝こそが「폐하」と呼ばれる絶対的な存在だった。

わかりやすく言えば、朝鮮王朝の国王は中国の皇帝の次位という立場なのだ。そこで、本来は皇太子のようにナンバー2に付ける「전하」を国王の尊称に使っていた。それほど中国に気兼ねしていたのである。

一方、古代では高句麗も百済も新羅も中国の冊封体制に入っていなかったので、堂々と「폐하 」を使ってもまったく問題がなかった。そういう背景を知ると、歴史的に中国との関係が本当に大きかったことがわかるだろう。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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