朝鮮王朝が後金(のちの清)に降伏する屈辱的な歴史を描いた同作は、イ・ビョンホン、キム・ユンソン、パク・ヒスン、パク・ヘイルなど韓国映画界の実力派俳優たちが共演し、音楽も坂本龍一が手掛けるなどスケールの大きな作品だったが、その歴史スペクタクルでも存在感を発揮したコ・スにとって、『オクニョ』は7年ぶりのドラマで、しかも初めての時代劇ドラマだったということは意外だった。
「確かにここ数年はドラマよりも映画の活動のほうが多かったと思います。テレビドラマと映画とでは、媒体が持つ特性が異なりますし、制作過程も異なります。ただ、少々大袈裟な言い方になるかもかもしれませんが、文化芸術を支える根幹になっているという点においては、共通していると思うんです」
ドラマ『オクニョ』でもそうだ。韓国の歴史ドラマが日本で受け入れられ好評を得ている事実に、文化芸術のチカラを感じるという。
「日本の視聴者のみなさんたちが『オクニョ』も受け入れてくださってありがたく思います。『チャングムの誓い』や『トンイ』など韓国の歴史ドラマがそうだったように、朝鮮王朝時代をモチーフにしながら、“典獄署(チョノクソ)”などこれまで韓国ドラマでは描かれなった題材などが興味深く映ったのかなぁとも思いますし、俳優たちそれぞれの演技がケミストリー(化学反応)を起こし、それがドラマを一層面白くしたのではないかと思います」
確かにその通りかもしれない。『オクニョ』では、“典獄署(チョノクソ)”だけではなく“体探人(チェタミン)”などこれまでの韓国歴史ドラマでは扱われなかった人々が取り上げられている。
役者たちのアンサンブルも秀逸。コ・ス演じるユン・テウォンの仇で劇中では憎たらしい悪女チョン・ナンジョン演じるパク・チュミすらも強烈な存在感を放っているのだから不思議だ。
そんな『オクニョ』のの撮影秘話と彼の目に見える日本についての「思い出インタビュー」は次回、紹介したい。
文=慎 武宏
■【関連】『オクニョ』の撮影のときにコ・スが意識していたこととは?