U-NEXTで配信中の『愛する盗賊様よ』でムン・サンミンが演じるのは、トウォン大君(=王子)イ・ヨルである。
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国王イ・ギュの異母弟であるヨルは、大君の名にふさわしい端正な容姿を持ちながら、世間では「遊び人」「ならず者」「ろくでなし」と噂される存在だ。
中殿(今の大妃)の腹から生まれた正統な大君としての血筋に加え、実は聡明さと鋭い知性も兼ね備えているが、彼を敵とみなしたイ・ギュは、まだ幼かったヨルにこう言い聞かせた。
「世間に己の聡明さを知られてはならぬ。私の目に付かぬよう何もするな。私のように母を失いたくないなら」
その日以来、ヨルは母を守るために“何もしない”ことを選び、遊び人として気ままな生活を送るようになる。
本来、大君は宮廷の外で暮らすものだが、ヨルは王の監視下に置かれ、宮中で暮らさざるを得ない身となった。そんな彼にとって、王が唯一許した娯楽が、捕庁に出入りしながらの「従事官ごっこ」である。推理の場面では持ち前の明晰さを発揮し、犯人を突き止めるたびに、内官や宮女たちを集めてその顛末を語ることが、彼の退屈を紛らわせていた。
ナム・ジヒョン扮する主人公ホン・ウンジョをはじめ、劇中の人物はすべて架空の存在だが、ヨルというキャラクターから自然と思い浮かぶ実在の人物がいる。それが、朝鮮第11代国王・中宗だ。
中宗の本名はイ・ヨク(李懌)。燕山君が王であった時代、彼は晋城(チンソン)大君と呼ばれ、兄の暴政のもとで細心の注意を払いながら暮らしていた。
もちろん、中宗には放蕩者を装って従事官ごっこをしたり、オルニョと恋に落ちたりした事実はない。『愛する盗賊様よ』は、大君時代の中宗をめぐる想像力を存分に膨らませたドラマだ。
ヨルのモチーフが中宗であるならば、王であるイ・ギュには燕山君の代表的な設定が重ねられている。母が不名誉な死を遂げた廃妃である点、世子時代には名君の資質を見せながらも、即位後はホン・ミンジク(ウンジョの父)をはじめ、逆らう臣下を次々と罷免・粛清した“庚午年の士禍”を起こした点などは、燕山君を彷彿とさせる。
歴史的に見れば、中宗は反正によって王位に就き、在位38年という長期政権(1506~1544)を築いたが、その評価は今なお分かれ、名君か暴君かについては学者の間でも意見が割れている。
『愛する盗賊様よ』でヨルが王座に就く姿が描かれるかは定かではないが、ドラマならではの想像力がどこまで広がっていくのか、注目したい。
(文=李 ハナ)
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