Disney+で配信中の時代劇ドラマ『濁流』は、京江(キョンガン)を舞台に繰り広げられる群像劇である。富と権力が結びつき、弱者が無情に押し潰されていく社会の中で、若者たちが抗い、未来を切り拓こうとする姿を描いている。
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第1話は、この壮大な物語の序章として、重苦しくも鮮烈な世界を提示した。
物語の始まりは、泥にまみれた労働者チャン・シユル(演者ロウン)である。彼は渡し場で荷物を運びながらも、まともな賃金すら得られず、ただ生きるために体を酷使する日々を送っていた。
しかし、川に落ちた老人を助けた一瞬の行動が、彼の運命を大きく揺さぶる。捕盗庁の役人ドルゲ(演者チェ・グィファ)に目をつけられたことから、彼を待ち受けるのは予想を超えた苦難である。
加えて、救った老人の家族に訪れる悲劇は、当時の厳しい現実を突きつけ、視聴者の胸を抉るような痛みを残す。一方で、京江の商団に生まれたチェ・ウン(演者シン・イェウン)は、女性という理由だけで父から冷遇されている。
しかし彼女は聡明で行動力に満ち、旧来の枠に囚われない意志を持つ人物だ。港で偶然シユルと出会う場面は、身分差という大きな壁に隔てられながらも、運命的な縁を感じさせる余韻を残した。
さらに、官僚を志す幼なじみチョン・チョン(演者パク・ソハム)が登場することで、かつて夢を語り合った3人の若者が再び交錯し、物語は広がりを見せていく。
背景にあるのは、苛烈な社会構造である。労働者を束ねる無法者ムドク(演者パク・ジファン)、彼らを監視し支配する捕盗庁、その背後で糸を引く権力者たち。
階層的に積み上がる力のピラミッドが人々を押し潰していく様は、息苦しいほどのリアリティを伴って描かれる。
俳優陣の挑戦も見逃せない。特にロウンは、これまでの清潔感あるイメージを脱ぎ捨て、煤けた衣と荒んだ仕草の中に不屈の精神を宿す労働者を体現した。
終盤の格闘場面では、理不尽に抗う人間の逞しさを全身で示し、圧倒的な迫力を放っている。
総じて第1話は、濁った時代に翻弄されながらも、未来を掴もうとする若者たちの物語の始まりを力強く描いた。彼らが社会の濁流にどう抗い、どのように変わっていくのか、その行方から視線を外すことはできない。
文=大地 康
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