Netflixで配信中のドラマ『エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち』は、法廷ドラマでありながらもヒューマンな成長物語を描き出す作品である。
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舞台となるのは大手法律事務所ユルリム。そこで新人弁護士カン・ヒョミン(演者チョン・チェヨン)が初めて訴訟チームに加わり、冷徹に見えて実力主義を貫くユン・ソクフン(演者イ・ジヌク)と出会うことで、真の弁護士へと成長していく姿が描かれる。
ヒョミンは正義感の強さと意志の固さを持ちながらも、社会性にやや不器用な人物であり、その未熟さが視聴者に共感を呼ぶだろう。
このドラマの大きな見どころのひとつは、訴訟チームとして集結する面々の関係性にある。
イ・ハクジュ演じるイ・ジヌやチョン・ヘビン扮するホ・ミンジョンらが加わり、互いに異なる価値観と背景を抱えながら、ひとつの案件に挑むことで生まれる人間模様が巧みに描かれる。
さらに法律事務所ユルリムの内部構図が徐々に明らかになるにつれ、単なる勝訴の物語ではなく、弁護士という職業に宿る葛藤や矜持までもが浮かび上がってくる。
その中で特に注目されるのが、キム・ヨジン演じるクォン・ナヨンという存在である。彼女はユン・ソクフンの直属の上司であり、優れた法律的手腕を持ちながらも、社内政治においては必ずしも器用ではない。
そんなクォン・ナヨンに扮するキム・ヨジンは、韓国ドラマ界において確かな実力を誇る女優である。1990年代から映画やドラマの第一線で活躍し、母性あふれる温かな役柄から、冷徹な権力者まで幅広く演じ分けてきた。
代表作には『イ・サン』『華政』『梨泰院クラス』などがあり、時代劇から現代劇までジャンルを問わず存在感を示してきた。
『イ・サン』では朝鮮王朝第21代王・英祖(ヨンジョ)の正室の貞純(チョンスン)王妃、『華政』では15代王・光海君(クァンヘグン)を陰で支えて陰謀を繰り返した金介屎(キム・ゲシ)に扮した。
そして、『梨泰院クラス』ではキム・ダミ扮するチョ・イソの母親チョ・ジョンミンを演じ、視聴者に強烈な印象を残している。
今回の『エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち』での役柄は、長年積み重ねてきた彼女の演技経験が生かされる絶好の舞台である。復帰を果たす弁護士という立場に重ね合わせるかのように、キム・ヨジン自身のキャリアの厚みが滲み出ることは間違いない。
彼女が演じるクォン・ナヨンは、単なる上司ではなく、主人公たちにとって大きな道標となるだろう。
弁護士という職業の厳しさと人間味、そして組織内での生き様を描く『エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち』。その中でキム・ヨジンは、物語を支える柱として確かな存在感を示すに違いない。ベテラン女優の新たな挑戦に、視聴者の期待は大きく膨らんでいる。
文=大地 康
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