『私たちの映画』は創作現場の臨場感をどのように魅惑的に見せるのか

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日本ではDisney+で配信されているドラマ『私たちの映画』は、ゆったりしたテンポで美しい名場面が続いていく。本当に味わい深いドラマだ。

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見ていて一番気になっているのは、余命宣告を受けている女優がヒロインになっていて、果たして最後まで撮影を完了することができるのか、ということだ。そこが一番の重要ポイントになっている。

そもそも、監督のイ・ジェハ(演者ナムグン・ミン)は、父親のイ・ドゥヨンが1990年代に撮った映画『白い愛』を自分がリメイクすることになった。イ・ドゥヨンは韓国映画界の巨匠だったが、女優と不倫して母親を精神的に苦しめたので、イ・ジェハは父親のことを嫌っていた。

それなのに、彼にはリメイクをしなければならない事情があった。父親への嫌悪感を超える創作意欲があったからだ。それで、監督を引き受ける気になったのだ。

しかし、余命宣告を受けていたイ・ダウム(演者チョン・ヨビン)を映画の主役にしたのは冒険だった。イ・ダウムはまだ女優の卵でありキャリアも浅かった。それなのに、オーディションで抜群の演技力を見せたからとはいえ、イ・ジェハは果敢にイ・ダウムを主役に指名した。彼女が余命宣告を受けていることを知りながら…。

『私たちの映画』
ナムグン・ミンは監督のイ・ジェハを演じている(『私たちの映画』
ディズニープラスにて6月13日(金)より独占配信開始
(C)2025 SBS & Studio S. All rights reserved.)

スリリングなテーマ性

何よりも重要だったのは、イ・ジェハが創作現場の臨場感を自分で作り出したかったということだ。主演女優が余命宣告を受けているという緊迫した状況の中で、果たして自分がどこまで最後まで映画制作に打ち込んでいけるのか。そのことを彼は自分の新しいチャレンジだと思っていた。

イ・ジェハは既存のイメージを打破する映画を作りたかった。そのために、才能が卓越していたイ・ダウムの可能性に賭けてみたかった。そこが、『私たちの映画』の最もスリリングなテーマ性になっているのだ。

傑作映画が作られる過程では、監督も出演者も常に困難な状況を乗り越えていかなければならない。そのことを『私たちの映画』が示してくれるはずだ。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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