日本ではDisney+で配信されている新作ドラマ『私たちの映画』。ナムグン・ミンとチョン・ヨビンの共演が話題になっていたが、正直言って第1話と第2話は、テンポがゆっくりしすぎていたし、抽象的な描写も多かった。
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果たして、このまま順調に進んでいけるのだろうか、と疑問に思える部分もあった。これでは、途中で離脱してしまう人もいたに違いない。
しかし、第2話の最後で、イ・ジェハ(演者ナムグン・ミン)がイ・ダウム(演者チョン・ヨビン)に、「死んではいけない」と語る部分は衝撃的だった。それは、ダウムが劇中で制作される『白い愛』の主役になることが決まった瞬間だった。
そういう展開を受けて始まった第3話…具体的に、映画が進んでいくプロセスが描写されていった。
新人女優を主役にするために投資者をどのように説得するか。本来主役にしたかった女優を脇役にすることが可能なのか。撮影監督をはじめとしたスタッフをどのように集めるのか。
テスト撮影をどのように実行するか。そうした映画作りに欠かせない問題がどんどん整理されていった。とにかく、このあたりの展開は臨場感があって見ていても面白かった。
さらに、ダウムは自分が余命の少ない立場でありながら、映画の中で余命宣告を受けたヒロインを演じていく。このことに関して、監督のジェハがダウムの体調を心配するのは当然だ。最後まで撮影を全うできるのかどうか。実際、その事実を他の人たちが知ったら大反対されることは目に見えていた。
それゆえ、ジェハとダウムは契約書を作って、余命が少ない病状のことを2人だけの秘密にしておくことを約束しあった。この「秘密の共有」によって物語は大きく動いていく。
当然ながら、当事者2人は納得して動くが、他の人たちは何も知らないで撮影に臨まなければならない。その間に起こる様々な問題がドラマをどんどん活性化させていく。当初は心配された『私たちの映画』だが、一気に名作の雰囲気を漂わせてきた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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