注目の「百想芸術大賞2025・テレビ部門」で最も優れたドラマに与えられる作品賞にノミネートされた『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』。このことだけでも大変な名誉なのだが、実際に傑出した作品だと高く評価されている。
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主役イム・ジヨンが演じるのは、哀しき宿命を背負った奴婢クドクである。彼女は、冷酷無残な両班(ヤンバン)に虐げられながらも、魂の底に静かなる炎を宿し続けた。やがて逃亡を果たし、まるで宿命に仕組まれたかのような劇的な出会いが訪れる。
そこから彼女は、名門の娘オク・テヨンとして新たな人生を歩み始め、「外知部(ウェジブ/被告の弁護人)」という重責ある立場において、その才気を輝かせていく。
そんな彼女の人生を大きく揺さぶる存在がチョン・スンフィ(演者チュ・ヨンウ)である。彼は芸人として人々を魅了していた。しかも、かつてクドクにひそかに恋慕しており、彼女のためならば命さえも惜しまぬ覚悟を抱いていた。
しかし、オク・テヨンは苦渋の選択で、チョン・スンフィと瓜二つのソン・ユンギョムと婚姻を結ぶ。胸の奥に哀しみを抱えたままの決断であった。だが、ソン・ユンギョムが逆賊として疑われ、姿を消してしまった。物語はさらに波乱に満ちた展開を見せる。
失踪したソン・ユンギョムの代わりに、チョン・スンフィがその姿を引き受けた。過去の想いを胸に秘め、真実を守るために彼は仮面をかぶるのだった。
このように複雑に交錯する感情と運命の中で、イム・ジヨンはオク・テヨンのしなやかな生命力と深い英知を繊細に表現していた。
そして、チュ・ヨンウの存在もまた際立っていた。彼は異なる個性を持つ2人の男を、それぞれまったく違う声色と表情で巧みに演じ分けた。特に切迫した場面においても、その呼吸は静かで、目には確固たる説得力が宿っていた。
これほどの演技を見事に披露したチュ・ヨンウは、「百想芸術大賞2025・テレビ部門」の男性新人演技賞にノミネートされており、かなり有力視されている。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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