韓国時代劇でレジェンド級と評価されるのは、『宮廷女官チャングムの誓い』『イ・サン』『善徳女王』『太陽を抱く月』などである。こうした時代劇はあまりに有名だが、それに負けないくらい物語が素晴らしい3本のドラマを取り上げてみよう。
【関連】【こんな仰天キャラだったの?】『華政』で知られる貞明公主は結婚式でこんな騒動も最初に推す時代劇は、『王女の男』(2011年)である。
歴史的事実と重厚な創作が高度に融合した時代劇だ。史実をうまく織り込んだストーリー、禁じられた恋に打ち勝つラブロマンス、特異なキャラクターを演じ分けた俳優陣、創造力が豊かな演出……本当に持ち味が多彩に揃っている。
また、最初から最後までワクワクさせてくれるスリリングな展開も良かった。さらに、パク・シフとムン・チェウォンの主役コンビは、素晴らしいケミストリーでドラマを盛り上げてくれた。
次に推薦したいのが『華政〔ファジョン〕』(2015年)だ。
イ・ヨニが演じた主人公の貞明公主(チョンミョンコンジュ)がとても魅力的なヒロインだった。なんといっても、17世紀前半の朝鮮王朝の歴史を史実に沿ってダイナミックに描いていて、当時の歴史を知るうえで貴重なドラマになっている。
特に、光海君(クァンヘグン)と仁祖(インジョ)という2人の国王を見事に対比させていて、歴史の重厚感を持った構成が見応え十分だった。
最後に推すのは『ヘチ 王座への道』(2019年)である。
チョン・イルが演じた英祖(ヨンジョ)は、前半では出自が低い王子として苦難続きであったが、そうした苦難を乗り越えていく局面が非常に面白かった。
後半になって国王に就いた英祖が民衆のための政治を行っていくプロセスも、鮮烈に描かれていて評価が高い。全体的な展開も場面の切り換えのテンポがとても巧みで、新しいスタイルの時代劇誕生を予感させた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
作家。1954年東京・向島で生まれる。韓国の歴史・文化・韓流や日韓関係を描いた著作が多い。『知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物』を含めた朝鮮王朝三部作は70万部を超えるベストセラーとなった。
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