日本でもNetflixで同時配信されていて大人気になっている『涙の女王』。このドラマで目立っているのは、財閥クイーンズグループの令嬢であるホン・ヘイン(キム・ジウォン)と地方から上京して出世を果たしてきたペク・ヒョヌ(キム・スヒョン)の立場の違いだ。
【関連】走る!走る!走る!キム・スヒョンが『涙の女王』で疾走するシーンが痛快だ
実際、ストーリーの前面に出てくるのは財閥の豪華すぎる生活ぶりだ。まるで朝鮮王朝時代の王家を思わせるような人々が登場する。その中でヘインが王女のような暮らしぶりをしている。
一方、クイーンズグループの法務部に勤務しているヒョヌの場合は、大都会とかけ離れた地方の出身だ。ドラマの中では龍頭里(ヨンドゥリ)という地名になっているが、広大な梨畑が広がっている地域である。そこで育ってソウル大学まで出たヒョヌは、初めてヘインに会った時に勘違いしてしまう。彼女は富豪の出身なのに、貧しい暮らしをしている女性だと思ったのだ。
そこで、ヒョヌは自分の実家がどれほど裕福で、地方の名士であるかを語りまくる。勘違いされてヘインも戸惑うばかりだった。結婚した後もヘインはヒョヌの実家には身向きもしなかった。本来なら嫁がすべきことをヘインは龍頭里でやっていなかったのだ。
しかし、余命が短いと宣告されてからは、彼女の心の中に変化があった。ヒョヌの父親が龍頭里の選挙で不利だと知ると、彼女はわざわざ龍頭里にやってきて、地元の人たちに大盤振る舞いをしていく。
これによってヒョヌの父親の株は一気に上がっていった。さらに、ヘインの龍頭里での行動がSNSで発信されて、財閥に憧れる人々がこぞって龍頭里にやってくるようになった。ヘインが立ち寄った場所がすっかり名所になってしまう。こうした展開によってヒョヌの両親や姉や兄も様々な恩恵を受けた。
このように、財閥の立場と地方の人間関係を対比させながら『涙の女王』は進んでいく。時代劇を見ていると、朝鮮王朝時代の身分の違いが極端であり、人間の格差というものを思い知らされる。現代でそういう身分差別はありえないことなのだが、現実的に財閥と地方の違いを見せることによって、ドラマには韓国らしいペーソスが生まれていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【関連】早くも『サイコ…』超え!! ネトフリでも配信『涙の女王』が韓国でも好発進の背景
前へ
次へ