フジテレビで放送中の『夫婦の世界』。主役のキム・ヒエが演じるのは、家庭サラン病院家庭医学専門医で副院長のチ・ソヌである。このヒロインの凄まじい執念がドラマ全体を覆っている。彼女は本来、何もかも手に入れた幸せな女性だった。医師としての名声があり、夫の映画製作会社代表イ・テオ(パク・ヘジュン)と幸せな結婚生活を送っており、出来の良い息子にも恵まれた。
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何もかもうまくいっていたはずだったのだが、それが一転した。夫が貸してくれたマフラーには茶色の長い髪がくっついており、それが彼女の心を大きく動揺させた。そして、疑心暗鬼の中で夫の浮気に気付いたのであった。
彼女はとてつもなくプライドが高い女性だ。夫の浮気は絶対に許せない。しかし、夫との離婚によって自分が持っていたものがことごとく奪われる可能性もあった。何よりも、チ・ソヌは自分が築いた財産を失いたくなかった。それゆえ、彼女は悔しさをこらえて、巧みに夫と離婚しなければならない。そのために一番大事なことは、離婚を決意していることを絶対に気付かれないことだ。
チ・ソヌは用意周到な準備を着々と進めていった。夫の愛人であるヨ・ダギョン(ハン・ソヒ)の動向をしっかり把握しておくために、彼女の横に内情をさぐれる女性を引っ越しさせた。そこでヨ・ダギョンの行動を完璧に見抜いていこうという戦略であった。
イ・テオはまだチ・ソヌが浮気に気づいているとは知らない。それゆえにイ・テオは妻に対して「愛している」という言葉を何度も投げかけてくる。しかし、そんな甘い言葉に騙されるチ・ソヌではない。
彼女は傷ついたプライドを必死に高揚させながら、自分ができることを何でもやっていく覚悟を決めている。もともとはすべて完璧に揃っていた女性が、夫に裏切られて気持ちがズタズタになってしまったが、このまま泣き寝入りするわけにはいかない。むしろ、夫に見事な復讐を仕掛けなければならないのだ。本当の意味で、チ・ソヌの壮絶な戦いが幕を開けたのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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