テレビドラマに必要なのは「リアリティ」か「ファンタジー」か。
究極的に言えば、その両方が必要だ。「リアリティ」だけでは人間の感情を動かすロマンスがないし、「ファンタジー」だけでは絵空事になってしまう。それだけに、「リアリティ」と「ファンタジー」が融合したドラマは視聴者が特に好むエンタメになっている。
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ここ10年の韓国ドラマの流れを見ていくと、大ヒットしたドラマのテーマ性がその後の新作に反映されていくケースが目立っているが、その観点から言うと、2016年から2017年にかけて韓国tvNで放送された『トッケビ～君がくれた愛しい日々～』の影響力は大きかった。
実際、この作品が「人間の輪廻転生」を重層的に描くファンタジー・ドラマとして人気を博したので、その影響で「人間の生まれ変わり」を扱ったドラマが確実に増えてきた。
その中で特に大事なのが、前世と現世の相乗効果だ。わかりやすく言えば、前世からの神秘性ロマンスが現世に生きてこないとストーリーは広がっていかない。
その点、『コクドゥの季節』は前世で愛しあう男女の悲恋が本当に印象的に物語を大きく動かしていた。
「前世で令嬢ソリ（イム・スヒャン）は政略結婚をさせられて愛する武士オ・ヒョン（キム・ジョンヒョン)と引き離されてしまった。オ・ヒョンは死んでしまい、ソリも自害する」
ここが出発点だ。しかし、オ・ヒョンは完全に死んだわけではなく、あまりにソリを愛しすぎたために未練が残ったままだった。神の怒りに触れ、「人間世界に天罰を下すコクドゥになって人間世界に戻ってくる」という設定が生まれた。
重要なのは「ソリの生まれ変わりの女性から愛の告白を受けなければならない」というミッションを与えられたことだ。この難題をクリアすることがコクドゥの生存理由となり、不思議なストーリーが展開されることになった。
圧巻なのは主役のキム・ジョンヒョンが異質の3人を表現していること。999年前の武士オ・ヒョン、死神コクドゥ、殺される運命の医師ト・ジヌ……結局、コクドゥはト・ジヌの身体に入り込んでオ・ヒョンの無念を現代で晴らしていく役目を果たしていく。
そして、見つけたのが、ソリの生まれ変わりである女医のハン・ケジョル（イム・スヒャン）だった。彼女は、視聴者が「応援したい」と思えるキャラであり、イム・スヒャンが奥ゆかしく演じている。
ただし、ミッションがあまりにも難しいので、サポート役が必要だった。そこで送り込まれたのが半神(半分だけ神)のオクシン(キム・イングォン)とカクシン(チャ・チョンファ)であった。
この2人は人間のパートでは俗っぽい人生を送っている。そこが痛快であり、芸達者な2人が絶妙な間合いで演じていてとても面白い。
さらには、新薬の開発で巨万の富をもくろむ悪人キム・ピルス(チェ・グァンイル)も、「必要悪となるカタキ役」としてドラマに欠かせない存在になっている。
こうして『コクドゥの季節』ではハン・ケジョルを見つめるコクドゥの視点が中心的に描かれ、彼女を救えるかどうかがコクドゥの真骨頂となっていく。
何よりも、「前世の悲恋が愛憎の渦巻く現世でどう結ばれていくか」というプロセスが最高のファンタジーになっている。そこを重点的に見ていくと、『コクドゥの季節』が披露する世界観にたまらなく惹かれていくだろう。
文＝康 熙奉（カン・ヒボン）
☆ドラマ情報
『コクドゥの季節』
演出：ペク・スチャン／キム・ジフン
脚本：カン・イホン／ホ・ジュンウ
出演：キム・ジョンヒョン、イム・スヒャン、アン・ウヨン、キム・ダソム、キム・イングォン、チャ・ヨンファなど。
☆2023年7月5日(水)よりU-NEXTにて独占先行配信開始！
DVD-SET1 2023年9月6日(水)発売
DVD-SET2 2023年10月6日(金)発売
各16,720円（税抜15,200円）
※2023年9月6日(水)レンタルDVDリリース開始
■【写真】キム・ジョンヒョンが震える声で…『コクドゥの季節』制作発表会の様子
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