SBS新ドラマ『悪鬼』(Disney+で配信中)で帰還を知らせた脚本家キム・ウニの“韓国型オカルト”はさすがだった。最も韓国的な物語で、キム・ウニならではの独特な世界観が構築された。
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6月23日より放送開始された『悪鬼』は、悪鬼に取り憑かれた女とその悪鬼が見える男が5つの神体をめぐる謎の死の真相を暴くオカルトミステリー。
容易に接しにくいジャンルと素材でも、大衆受けしやすい物語を作り出すキム・ウニの筆力が、如実に証明された。
悪鬼のミステリーに対する手がかりが随所に隠されたストーリーが細かく緻密にビルドアップされ、早くもク・サニョン(演者キム・テリ)とヨム・ヘサン(演者オ・ジョンセ)の追跡にハマってすべての場面をリピート視聴する人が増えている。
特に、韓国の文化を最もよく表す民俗学という素材は新鮮だった。
宮殿の中の人々ではなく、宮殿外に住んでいた人々がどんなものを食べ、どんな遊戯を楽しみ、どんな存在を信じて恐れたのかを研究するこの学問は、新しいことを知っていく楽しさを与えた。
朝鮮時代の文献にもあるという見えない自殺の手、トイレを守ったという神経質で荒々しい神など、民俗学者のヘサンの話が興味深く感じられた理由もここにある。
「幼い頃に魅了されたシチュエーションドラマ『伝説の故郷』の影響を受けた」というキム・ウニ。“朝鮮版ゾンビ”で全世界を沸かせた彼女が、今度は韓国型オカルトのブームを起こすことと期待される。
ジャンル物の面白さの中でも、社会に対する深い洞察とメッセージを逃さないキム・ウニの強みも目立った。
「青春に関する話をしたかった」という企画意図が、オカルトジャンルに自然に溶け込んだのだ。
あらゆるアルバイトで生計を維持しながら公務員試験を準備するサニョンは、「人のお金をもらう仕事はしたことがない」という同級生のユンジョンと対照的だった。また、虐待が起きる恐ろしい家から脱出したくても、安い家賃に足を引っ張られるセミは、「マンション暮らしが不幸ならば幸せな不幸だ」と、悲しい希望を呟いたりも。今の若者たちのリアルな現実が、ありのまま描かれた。
さらには、社会を悪に染める犯罪も登場した。
幽霊の存在を信じなかったサニョンが幽霊を見る過程で、児童虐待と家庭内暴力という事件を落とし込んだ。「今後もサニョンがヘサンと一緒に悪鬼ミステリーを追跡する過程で多様な社会悪が取り上げられる」というのが制作陣の説明。「覚えなければならない事件と人々」に対するメッセージを伝え続けてきたキム・ウニが、今度はどんな波を起こすか気になるところだ。
(記事提供=OSEN)
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