キム・ソンホは、本当に魅力的な俳優だ。華があるし、ルックスが抜群だし、舞台で培ってきた演技力がある。主演作も成功させていたのだが、2021年に起きた私生活スキャンダルで謹慎生活を余儀なくされた。
【関連】活動を再開したキム・ソンホの「大好きなドラマ」ベスト3を選んでみれば?
そんな彼が本格的に復帰してきた。5月22日には映画『貴公子』の制作報告会で改めて公に謝罪している。彼としては新しいステップに移る前に「けじめ」をつけたかったのだ。
そんな中で公開される『貴公子』は、キム・ソンホの意欲的な主演作だ。以降も、撮影が終わった映画『暴君』が控えている。いよいよキム・ソンホは完全に「スタンバイOK」の状態に入ってきた。
俳優としてのキム・ソンホの活動をずっと見てきたが、出世作となった『100日の郎君様』や会心の主演作だった『海街チャチャチャ』という2作品以上に愛着があるのが『スタートアップ:夢の扉』である。
このドラマでのキム・ソンホは本当に切れ味が抜群だった。主演はペ・スジとナム・ジュヒョクだったが、主役以上にスリリングな役割を果たしたのがキム・ソンホの演じたハン・ジピョンであった。
このジピョンは投資会社のスペシャリスト。腕利きで頭が冴えわたっている。こうタイプは冷徹な性格を思わせるが、彼はまったく違う。人情味があって、若い企業家を育てる気概に満ちている。確かに、仕事では厳しい見方を変えないが、根底には人間への信頼がある。
そんな熱い男をキム・ソンホは都会的なセンスで演じてドラマを大いに盛り上げていた。劇中でジピョンはペ・スジが扮したソ・ダルミに惚れぬいてしまうのだが、そんな場面でもキム・ソンホは繊細な感受性で苦悩する姿を等身大で演じて好評だった。
『スタートアップ:夢の扉』はIT企業を立ち上げて成長させていくプロセスをドラマチックに描いていたが、キム・ソンホ自身も再び俳優人生を果敢にスタートアップさせていく。大いに期待したい。
〔『スタートアップ:夢の扉』ドラマ概要〕
放送年/2020年
放送局/tvN
演出/オ・チュンファン
脚本/パク・ヘリョン
出演者(役名)/ペ・スジ(ソ・ダルミ)、ナム・ジュヒョク(ナム・ドサン)、キム・ソンホ(ハン・ジピョン)、カン・ハンナ(ウォン・インジェ)
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【関連】『海街チャチャチャ』にはどんなアフターストーリーがふさわしいのか
前へ
次へ