1994年に完成した『朝鮮王朝実録』のハングル版によって、韓国のドラマ制作陣は時代劇にとって最良のテキストを得た。その追い風に乗って、数多くの時代劇が高視聴率を挙げるようになった。
その頂点が、1999年11月から放送が始まった『ホジュン 宮廷医官への道』であり、視聴率は時代劇歴代最高の63・7%を挙げた。この大記録は今に至っても破られていない。
こうした時代劇が隆盛となった流れの中で、国民俳優チェ・スジョンが主演した『太祖王建』が2000年4月から放送を開始し、視聴率が60・2%まで急上昇した。この数字は、『ホジュン 宮廷医官への道』に続いて歴代時代劇の2位となった。
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「大ヒットしたら視聴率が60%に達する!」
それが2000年当時の韓国テレビ界の信じられない現実であった。どれだけ、韓国の人たちが時代劇に夢中になったことか。まさに空前の時代劇ブームとなっていた。
そんな中で2001年2月5日からSBSで放送が始まったのが『女人天下』であった。
このドラマは、朝鮮王朝三大悪女の1人の鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)が主人公になっていて、演じたのが国際映画祭で主演女優賞にも輝いた経歴を持つカン・スヨンだった。
素晴らしいキャスティングで制作された『女人天下』は、鄭蘭貞をただ欲望が深い極ワルの悪女としては描かず、むしろ悪女になっていく人間的な過程にスポットを当てて、情感豊かに王宮女性たちの生きざまを扱っていた。
最終的に全150話で1年半にわたって放送されたが、カン・スヨンの名演が話題を呼ぶ度に視聴率が上がり、時代劇歴代4位の49・9 %を挙げた。もちろん、視聴率もきわめて高いが、それ以上に優れた作品性が大きな話題となった。
また、2002年11月6日からはKBSで『張禧嬪[チャン・ヒビン]』が始まり、張禧嬪を演じたキム・ヘスも、深い情念を感じさせる演技でドラマを大いに盛り上げた。結果的に、最高視聴率が42・9%まで上がった。
かくして、韓国時代劇の世界は完全に「悪女ブーム」が席巻するようになった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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