ドラマ『ノクドゥ伝～花に降る月明り～』のキャスティングを見ていると、チョン・ジュノが光海君(クァンヘグン)に扮したというところがキーポイントだった。
なにしろ、チョン・ジュノといえば、数々のドラマで颯爽と主役を演じた大物俳優だ。ルックスも文句なしだし、コミカルからシリアスまでこなす幅の広さもピカイチだ。
そんな彼が今度は光海君を演じた。彼も役作りで相当苦労したと思える。実際、歴史的に毀誉褒貶が激しい人物だし、過去に多くの俳優が演じきっている。その中に今度はあえてチョン・ジュノが加わっていくことになるので、彼も「どうすれば自分なりの存在感を示すことができるか」を模索したはずだ。
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結果から言えば、チョン・ジュノは『ノクドゥ伝～花に降る月明り～』で新しいイメージを築き上げたと言える。
とにかく、ドラマの中の光海君は典型的な「問題児」であった。諫言する家臣を平気で殺してしまうし、激しい気性で周囲に迷惑ばかりかけていた。
しかも、自分でも精神的な問題をたくさん抱えていた。不眠症に悩んでいたこと、過去の出来事に苦しめられていたこと……。これほど問題だらけの国王を演じるにあたり、チョン・ジュノは感情の激しさをありのままに見せていた。それでも、彼は独特の品格を持っていて決して貧相には見えなかった。
むしろ、威厳すら感じさせたほどだ。それは間違いなくチョン・ジュノの演技力の賜物だ。そういう意味で、『ノクドゥ伝～花に降る月明り～』で特異なキャラクターだった光海君をチョン・ジュノが演じたことは、制作陣が期待したとおりに大成功だったと言える。
ドラマの中で光海君は、王妃に対して思いやりを見せる場面が何度もあった。このときばかりは、偏屈な国王も優しく情の厚い常識人間になっていた。多くのラブロマンスで熱情的な演技を披露してきたチョン・ジュノは、『ノクドゥ伝～花に降る月明り～』でも大いに「恋愛ドラマの名手」の片鱗を見せてくれたのである。
文＝康 熙奉（カン・ヒボン）
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