【書評】歴史ロマンを描く時代劇に役立つ『古代韓国の歴史と英雄』

2021年11月27日 話題 #写真
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最近は韓国時代劇の人気が日本でも高くなっている。ドラマや映画の配信サービスが充実してきたことがその背景にあるが、特に古代の作品を見る際に重宝できるのが『新版 知れば知るほど面白い 古代韓国の歴史と英雄』(康熙奉〔カン・ヒボン〕著/実業之日本社発行)だ。

本書の中で取り上げられている時代劇は多彩だ。

NHK・BSプレミアムで放送中の『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』を初めとして、『花郎(ファラン) 希望の勇者たち』『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』『朱蒙』『善徳女王』『奇皇后』といった人気ドラマの時代背景が簡潔に紹介されている。

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著者の康熙奉氏は韓国の歴史や時代劇の解説でよく知られているが、本書では各ドラマに登場する主人公たちの人物像が幅広く説明されている。特に、「その人たちが史実ではどう生きていたのか」という点が細かく書かれていて、史実とフィクションの違いが如実にわかってきて興味深い。

『新版 知れば知るほど面白い 古代韓国の歴史と英雄』(康熙奉〔カン・ヒボン〕著/実業之日本社発行)

古代を扱った韓国時代劇

例をあげると、善徳女王と側近たちがいかに新羅を強くするために尽力したかが歴史的に解説されており、そういう記述を通してドラマの登場人物たちがさらに生き生きと甦ってきて面白い。

また、古代史になると、時間と場所が頭の中でうまく整理できない場合も多いが、本書では地図やイラスト・図版を多用して理解しやすい構成になっている。

加えて、三国時代の王家の系統図などの史料も掲載されているし、古代から高麗時代までの朝鮮半島の歴史が通史という形でコンパクトに説明されている。そういう意味では、韓国時代劇が関係する古代史の要所を実務的に把握することが十分に可能である。

実際、古代を扱った韓国時代劇は概して壮大な歴史ロマンが盛り込まれているが、そんなドラマを見るときにも、『新版 知れば知るほど面白い 古代韓国の歴史と英雄』はとても役立つ1冊になっている。。

文=韓ドラ時代劇.com

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