【書評/今月のイチオシ】ドロドロした宮廷劇を描く『王妃たちの運命』

2021年11月20日 話題 #写真
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男性中心に政治を仕切っていたと言われる朝鮮王朝は、女性の側から見たらさらに面白くなる。

それはなぜなのか。

王妃、大妃(国王の母)、側室、女官たちが様々に暗躍していたからだ。有能な彼女たちには裏で政治を動かす力があった。

そんな女性たちを描いているのが『新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王宮 王妃たちの運命』(康熙奉〔カン・ヒボン〕著/実業之日本社発行)である。著者の康熙奉氏は韓国の歴史物語の執筆でよく知られている。

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本書では特に、人気時代劇の主役になっている王妃・大妃・側室たちの生きざまがとても魅力的に取り上げられている。また、「毀誉褒貶が多かった彼女たちが史実でどんな女性だったのか」という歴史も詳細に解説されていて、ドラマの主人公が生々しく甦ってくるかのようだ。

同時に、王宮の暮らしや王族女性の歩みも説明されており、当時の王宮の様子が手に取るようにわかってくる。

『新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王宮 王妃たちの運命』(康熙奉〔カン・ヒボン〕著/実業之日本社発行)

朝鮮王朝を概説した通史

このように、『新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王宮 王妃たちの運命』は、女性の立場から見た朝鮮王朝の歴史を細かく知ることができる一冊だ。そして、人気がある『宮廷女官 チャングムの誓い』『イ・サン』『トンイ』『七日の王妃』といったドラマが数多く登場してとても身近に感じられる。

なお、朝鮮王朝は国王を中心にした中央集権国家だったが、意外にも王族女性が政権のトップになったことが何度かあった。それはすべて幼い国王が即位したときだ。そういう場合は王族女性の最長老が摂政を行なったが、そんな時期にかぎって王朝を揺るがす大事件が起こった。

そうしたドロドロした状況は韓国時代劇の題材によくなっており、『新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王宮 王妃たちの運命』でも盛んに取り上げられていて興味深い。

さらに、巻末にある「王妃から見た朝鮮王朝の歴史」は、女性の立場から朝鮮王朝を概説した通史になっていて、とても読み応えがある。

文=韓ドラ時代劇.com

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