朝鮮王朝が建国したのは1392年だった。それから518年間も続いた朝鮮王朝は、まさに激動の歴史を刻んでいる。その中でも、高麗王朝を倒して新しい王朝を作った創成期は、最も波乱に富んだ時期だった。
それだけに、この時期を描いた時代劇はたくさんあるのだが、最近の作品で好評だったのが『私の国』である。
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この作品は、動乱の中で歴史に翻弄されていく若者たちの奮闘ぶりを描いており、颯爽と熱き生き様を存分に見せたくれたのがヤン・セジョンであった。
彼は2017年に韓国で放送された『師任堂(サイムダン)、色の日記』に出演していたが、その経験を生かして今度は主役として『私の国』で二度目の時代劇に挑んだ。
ヤン・セジョンが演じたのは、名将だった父が無実なのに罪人となってしまい苦難の中で育ったソ・フィという役だった。その役についてヤン・セジョンがこう語っている。
「ソ・フィは悲しみが多い人間でした。罪人の息子として苦労しましたし、病弱な妹を守るために懸命に生きていました。現代に生きる私たちには想像もできないような重荷を背負っていたのですから、ドラマを通してその重みをしっかり伝えたいと思いました」
ヤン・セジョンがこのように語るソ・フィは、武官をめざし戦場を駆け巡っていく。そうした戦いの中で骨太な精神を身に着けていくソ・フィをユン・セジョンはたくましく演じたいと熱望した。そこで彼は自ら身体に傷跡をたくさん入れることをスタッフに提案した。そのほうが視聴者にもソ・フィの辛さがよくわかるだろうと思ったからだ。
さらに、戦場での衣装にもリアリティがあるように工夫を凝らした。そこまで考え抜いてヤン・セジョンはソ・フィを演じきっていた。
そんな彼は、ソ・フィを通して「本当の幸せ」をよく考えたという。
「登場人物のみんなが考える理想の国がありました。しかし、理想のためには失うものも多いのです。それでも、最後は人との縁を大切にして誠実な人間になることですね」
ヤン・セジョンにとって、『私の国』で演じたイ・フィというキャラクターは誠実な生き方を示してくれていた。それは実生活にも確実にいい影響を及ぼしてくれたという。
現在は兵役に入っているヤン・セジョン。『私の国』は彼にとって忘れられないドラマであったことだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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