女優のパク・ハソンは『トンイ』でとても印象的な演技を披露した。
扮したのは、19代王・粛宗(スクチョン)の正室だった仁顕王后(イニョンワンフ)であった。この女性は王妃でありながら張禧嬪(チャン・ヒビン)に何かといじめられていた。そんなキャラクターをパク・ハソンは清楚なイメージで演じていた。
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その演技は好評を博し、彼女は一気に人気女優に躍り出た。
以後も数々のドラマでオファーを受けるようになり、2013年にはイ・ジュンギ主演の『TWO WEEKS』で存在感を示した。
さらに、2019年には『平日午後3時の恋人』で主人公を演じている。
このドラマでパク・ハソンが扮したのは平凡な主婦のジウンだった。彼女は夫と平凡な暮らしを続けていたのだが、そばに引っ越してきた主婦の不倫現場を目撃したことから人生がどんどん変わっていってしまった。
というのは、不倫のアリバイ工作に加担させられた中で高校教師のジョンウ(イ・サンヨプ)と知り合うようになり、やがてジウン自身も自ら不倫の渦中に巻き込まれていくのであった……。
こういうストーリーで『平日午後3時の恋人』は平凡な主婦を不倫に溺れる女性に変化させていくのだが、パク・ハソンは主人公の揺れる気持ちを繊細に演じきっていた。
とにかく、共演のイ・サンヨプが驚いていたのが、パク・ハソンの集中力の凄さだった。共演者と笑いながら歓談していた直後でも彼女は涙を流す演技に没頭することができたという。
そういう意味で、パク・ハソンはとても勘がいい女優だし、感情のスイッチをうまく切り替えることができるタイプなのであった。
このように、『トンイ』で薄幸な王妃のイメージをはかなく表現していたパク・ハソンは、『平日午後3時の恋人』はまるで違う不倫の葛藤を見事に演じきっていた。
まさに、パク・ハソンは表現力の多様性を持った女優なのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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